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「サブライブ!ペガ!!」では、 今回5回目となるイベントです。第4回目も手探りながらも好評にて無事開催することができました。 参加募集要項 ● 開催日 2019年9月22日(日)11:00〜16:00 注意事項 ● 当イベントでは、露骨な性的描写を扱った同人誌等の物品を頒布することはできません。 |
最寄停車場:奈良交通バス 上牧町文化センター または アピタ西大和 JR 王寺駅(南口のりば 2番)から 五位堂駅 行 または 服部記念病院 行 バス時刻表(pdf):王寺駅 近鉄 五位堂駅(2番のりば)から 王寺駅 行 バス時刻表(pdf):五位堂駅 ペガサスホール(上牧町文化センター)には無料駐車場があります。 |
千葉県・東京都・神奈川県と上牧町を結ぶ夜行バスがあります。 所要時間(京成上野駅⇔上牧町役場前 間) 往路:9時間21分 復路:9時間38分 運賃は、約6,000円〜11,000円です。 日時・予約状況によって変動します。 経路・時刻等の詳細は、今後変更される可能性があります。 下記の予約サイト等を参照してください。 バス比較なび | TDR横浜奈良線(やまと号) | ||
往路 | 復路 | ||
JR津田沼駅 | 20:43 | 08:42 | |
京成津田沼駅 | 20:50 | 08:35 | |
西船橋駅 | 21:25 | 08:05 | |
東京ディズニーシー | 21:55 | 07:35 | |
東京ディズニーランド | 22:05 | 07:30 | |
スカイツリータウン前 | 22:35 | 07:00 | |
京成上野駅 | 22:50 | 06:45 | |
横浜駅YCAT | 23:50 | 05:50 | |
本厚木駅 | 24:35 | 05:03 | |
↓ | ↑ | ||
上牧町役場前 | 08:11 | 21:07 |
「サブライブ!ペガ!!」 奈良県北葛城郡上牧町は奈良県の北西に位置する、人口約22,000人の町です。 |
現在の企業・団体ブース数:4ブース
N.O.A.A.(Nara Owners Association Ark) 奈良県で二次元のイメージキャラクターを持つ店舗・事業者が |
熊野娘道譚×王立サブカル学園 ■熊野娘道譚(株式会社アクロス) 和歌山県が舞台の作品が増えたらいいなっ!てことで作った、 ■王立サブカル学園 体当たり系サブカルバラエティラジオ番組。(現在は活動休止中) |
大森杏子Racing【公式】 現在「Netz Cup Vitz Race 関西シリーズ」に |
サード・インパクト ・萌えフィギュア等は30点以上。 |
C.A.S.T. とは
C.A.S.T.(キャスト) とは、企業・団体(あるいは個人も)が自身の活動の内容を周知させるために創出したマスコットキャラクターのことです。「ご当地萌えキャラ」を代替する用語として当団体を中心として提唱する概念です。
このようなマスコットキャラクターは従来、特に検討されることもなく一括して「ご当地萌えキャラ」と呼ばれることがありました。しかし実際には、「ご当地キャラ」と呼ぶほどには活動領域が局限されておらず、また、「萌えキャラ」のカテゴリーに収まらないような多彩なキャラクターも多く存在します。そういうキャラクターを包括したうえで企業・団体のマスコットキャラクター全体をどう呼ぶかについて検討した結果、辿り着いた結論が「C.A.S.T.」という名称です。
"C.A.S.T." は、"Character for Appealing Something as a Tool"(何かをアピールするためのツールとして活用されるキャラクター)の略称です。それと同時に、「役割を与える/新しい活動領域に投げ込む」という英語の動詞 "cast" の意味も踏まえています。
「ご当地萌えキャラ」を「C.A.S.T.(キャスト)」と呼び替えるにあたり、「萌えキャラ運営(者)」を「キャスター」、「萌えキャライベント等の運営活動」を「キャスティング」と呼ぶことも提唱したいと考えています。
現在のC.A.S.T.ブース数:11ブース
日本鬼子 私は日本(ひのもと)鬼子。 |
役ついな 現代に生きる鬼退治師(方相氏)の末裔がついなちゃん! |
石動なから 紀州マンカラ協会の、石動なから(いするぎなから) だよ。 |
くすり屋の良佳さん 三重県伊賀市の「ハヤシ薬局」のマスコットキャラクターです |
美月咲紅【株式会社ツキエス】 大正15年創業。奈良県天理市にある老舗引手メーカー |
りんか 株式会社Reincarnation&アニメBARりんかの看板娘りんかです!☆ |
京町セイカ 人を育み未来をひらく学研都市精華町の広報キャラクター 「京町セイカの紹介」|精華町 |
カレー嬢なな&愛乃ナナ 札幌生まれのアバターアイドルの「なな」を、 |
御山あい (CV:大村彩 twitter)こんにちは、 |
煌御門碧琴 (CV:黒月亮 twitter)煌御門 碧琴でーす。 |
やぎつくね (CV:音羽咲夜 twitter)みなしゃん、こんにちは。 |
S・ブラッドストーン (CV:森嵜美穂 twitter)皆さんこんにちは! |
クリエーターの皆さまへ
サブライブ!ペガ!! Vol.4 では、N.O.A.A.(Nara Owners Association Ark)が管理するキャラクターについて、公序良俗に反しない限り、二次創作、および、その作品を本会場で頒布していただくことが可能です。
頒布物に際しては、ロイヤリティー等は一切発生しません。
頒布物に在庫が出た場合、在庫処理の方法として他のイベント等で頒布していただいてかまいませんが、当サイトにて発表された頒布物に限ります。
ご協力いただけるクリエーター様は、当頒布物の画像と詳細をご連絡ください。
連絡用 e-mail:hime(A)gunsbarroses.jp
使用可能キャラクター
天草いよ 設定 | やぎつくね 設定 | スピカ・スカイユ 設定 | |||||
真田ちゆり 設定 | 海藤咲希 設定 | 浅井ソフィー優美子 設定 | |||||
煌御門碧琴 設定 | 姫神美弥 設定 | 瑠璃川礼音 設定 | |||||
兎月桜華 設定 | プロテア・ディディカス 設定 | 笹百合姫 設定 | |||||
龍峰卑弥呼 設定 | 鹿奈時雨 設定 | 大和歩 設定 | |||||
S・ブラッドストーン 設定 | 大和マヤ 設定 | 青峰ジェネ 設定 | |||||
御山あい 設定 | 柿本富有 設定 | 安杜姫月 設定 | 白雪ラウイ 設定 |
現在のクリエーターブース数:6ブース
香菜里屋 創作イラストと擬人化星のカービィで活動しています。 |
トリ秋屋 主に N.O.A.A. さんの所のキャラクターをメインに |
しるふ屋 占い師の『しるふ』とマスコットの『ふぇんりる』で |
JumpGun! Project 五條市にてジャンプのできないアクションパズル |
うるとら☆ねこぱんち 猫・ライオン・フクロウ等のカバン・時計・シールなど |
ちびえな ボードゲーム展示 |
現在のハンドメイドクラフトブース数:-ブース
現在の出演団体数:-団体
タイムテーブル
時刻 | パフォーマー | 曲目 | 備考 | |
11:20 | ||||
11:30 | 熊野娘道譚 | 臘月の鬼神 | 出演:若草みほ 出目金子 月見里うさ子 鳳凰院カテリーナ ピエール・ アボカド・ケン 飯田悠佳 | |
12:10 | eighth grade Syndrome | |||
12:50 | 大和まほろば奇鬼妖神 人狼の里編 前編 生アフレコ | 出演:飯田悠佳 森嵜美穂 石崎紗彩 久留ゆう 樋口陽子 七海映子 音羽咲夜 アボケン | ||
13:50 | ティラミス | |||
14:15 | 大和まほろば奇鬼妖神 人狼の里編 後編 生アフレコ | 出演:飯田悠佳 森嵜美穂 石崎紗彩 久留ゆう 樋口陽子 七海映子 音羽咲夜 アボケン | ||
15:30 | 大辺璃紗季 飯田悠佳 | ついなちゃんの萌えキャラ研究会 | 奈良出張版 | |
現在の露店数:2店
やきとり大吉 上牧店 赤い提灯が目立つ、町の「焼き鳥屋」さんです。 |
BALANCE DINER 深夜までタコスTEXMEXたこ焼きを楽しめてダーツもできます! |
会場限定頒布のお知らせ GUNS BAR ROSES オリジナルブランド「弾鋼堂」のTシャツ |
サブライブ!ペガ!! Vol.4 のチラシ・チケット |
サブライブ!ペガ!! Vol.4 では、ボイスドラマの公開アフレコを開催する予定です。
公開アフレコは、各場面の状況に沿ったイラストを使用した動画をスクリーンで上映しながら行う予定です。
上映する動画に使用するイラストについて、イラストレーターの方々のご協力を仰ぎたく、お願い申し上げます。
各場面にふさわしいイラストを募集します。
募集するイラストの推奨画角は、横:縦 = 16:9 ですが、その他の画角でも受け付けております。
なお、今般の募集に関しましては、大変恐縮ではございますが、無償にてご協力をお願い申し上げることといたしたく存じます。
上記お知り置きの上、ご応募くださいますよう、お願い申し上げます。
イラスト募集要項
イラストの募集に当たり、応募イラストレーターの方にはまずシナリオの範囲を指定していただき、その後、イラストの制作・送付をお願いいたします。
イラストは、カラー・モノクロ、デジタル・アナログの別を問いません。
範囲が重複した場合は原則として先着の方を優先しますので、お早めにご応募ください。
範囲が確定した場合は、こちらから返信いたします。
納品締切 :2019年9月17日
(納品の期限です。余裕をもってご応募ください)
メールアドレス:hime(A)gunsbarroses.jp
(上記の (A) をアットマークに変えてください)
記入事項 :イラストレーターのお名前(PN)
メールアドレス
シナリオの範囲
(範囲の先頭・末尾の人物名・セリフを記入してください)
一部のセリフについては、一般の方に担当していただくことを予定しています。
参加者の方には、声優さんたちと同じステージに上がっていただき、生アフレコをしていただきます。
リハーサルのため、当日の 9:00 に会場にお越しいただくことをお願いいたします。
募集要項
2019年9月18日23時をもって、出演者の募集を締め切りました。
今回は16の枠に対し、4名の方のご応募がございました。
ありがとうございます。当日に確実にご参加いただける方のご応募をお待ちしております。
参加をご希望の方は、下記のリンクの応募用紙を印刷し、必要事項を記入して封筒に封入し、下記の住所に送付してください。
応募者多数の場合は、抽選で決定いたします。
ご参加が決定した方には、担当していただくセリフを送信いたします。
警備の関係上、写真付きの身分証明書のご提示をお願いいたします。
今般の募集で収集した個人情報は、本人確認の目的以外には使用せず、イベントの終了後には適切に破棄することを約束いたします。
応募用紙 :生アフレコ 応募用紙
募集締切 :2019年8月31日
当選発表 :2019年9月6日
送付先 :〒639-0212
奈良県北葛城郡上牧町服部台 5-4-10 シャアアズナビル 1F
GUNS BAR ROSES
メールアドレス:hime(A)gunsbarroses.jp
現在、スピカ・スカイユ(Spica Sequailles)の twitter にてご応募を受け付けております。
下記のリンクボタンから詳細をご覧ください。
twitter
時間 | セリフNo. 演者 | 人物 | セリフ (イラスト) | 備考 |
(BGM) | (「Magna」開始〜終了) | |||
(BGM) | (「水鏡」開始) | |||
0:00 | 1-1 | ミサキ | 再び登場の熊野娘道譚の ストーリーテラー? とでも 言いましょうか、 「ヤタ・ミサキ」です。 さて、熊野娘道譚の主人公 「藤代すみれ」とは縁ある スピカさんの学園冒険活劇の司会を務めさせていただきますので どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、只今より《大和まほろば奇鬼妖神 人狼の里 編》 開幕にございます。 | |
1-2 | [ちゆり] | 私の名前は真田ちゆり、 聖バレンシア女子学院に通う 普通の女子高校生、じゃないわね。 ちょっと不思議な力を持った 少女って設定です。 まあ、それはさておき、 今回のお話の主役は、 残念だけど私でもスピカでもないのよね。 私的には、S・ブラッドストーン、通称ブラッディの秘密が 明らかにされるってところからして、 ブラッディなんじゃないかしら (笑) | ||
(BGM) | (「水鏡」終了) | |||
(ジングル) | (「Runaway」) | |||
1-3 | ミサキ | 《第一章 十三日の金曜日》 ここは、聖バレンシア女子学院の中、 何年生なのかは設定されて いませんが、A組の教室内、 四時間目の授業が終わり、 ここから物語は始まるのです。 | ||
(ジングル) | (「Fight oh!!」) | |||
(SE) | ――♪キンコンカンコーン | |||
(BGM) | (「カラフルリボン」開始) | |||
1-4 | 女教師 | はい、今日の授業はここまでです。 それでは皆さん、 午後からの専門課程の授業は ありませんので、 お昼ごはんを食べたら、 各班に分かれて、 イベントの設営準備に勤しむように。 それじゃ学級委員長のつくねさん、後は頼みますね。 | ||
1-5 | つくね | 了解です。――起立! 先生に注目! 礼! | ||
1-6 | 生徒全員 | ありがとうございました。 | ||
1-7 | つくね | それじゃーみんな、 待ちに待ってました、 聖バレンシア女子学院 恒例イベント、 お月見ナイトは今夜やけん、 盛り上がっていくばーい! | ||
1-8 | 生徒全員 | イェーイ。 | ||
1-9 | 生徒A | だけど、委員長、 今日は、13日の金曜日だからなんかヤバくない? (笑) | ||
1-10 | 生徒B | (笑) ジェイソンとか、現れたりして。 | ||
1-11 | つくね | ほんに、今年の中秋の名月はスリルのある日付になったばい。 せやから、よけいにテンション上がるバイ! | ||
1-12 | 生徒全員 | (笑) | ||
1-13 | [ちゆり] | (笑) ってわけで、今夜はいろいろと盛り上がりそうね (笑) そして、私たちは設営準備のために 班ごとに分かれて行動することになりました。 | ||
1-14 | スピカ | なあなあ、つくねー。 | ||
1-15 | つくね | なんや? スピカ? | ||
1-16 | スピカ | ボクの班ってさ、ちゆりの他に誰が居んの? | ||
1-17 | つくね | あっ、そうか。 スピカとちゆりは、班決めの時、スペインに行ってたんやな。 | ||
1-18 | スピカ | だね。 | ||
1-19 | つくね | B組のブラッディと C組に転校してきてた クロエちゃんやな。 | ||
1-20 | スピカ | えっ? 四人だけなの? | ||
1-21 | つくね | ウチが知ってるのはそんだけやけど。 あと何人かはおるやろな。 せや、スピカらは、校庭の設置準備やなくて、 自然庭園のゴミ拾いやで (笑) | ||
1-22 | スピカ | はぁ〜? なんでボクたちだけ掃除係なんだよ! | ||
1-23 | つくね | 学校、休んでたからな。 みんなが嫌がる、余り物しかなかったんやけど (笑) | ||
1-24 | スピカ | ……マジかよ。 | ||
1-25 | [ちゆり] | まあ、仕方がない結果なんですけど (笑) そして、昼食の後、私は不貞腐れるスピカを連れて 学院内にある自然庭園に向かうことにしました。 | ||
(BGM) | (「カラフルリボン」終了) | |||
1-26 | ナレーターA | 【場所は変わって自然庭園にて】 | ||
(BGM) | (「お出かけ日和」開始) | |||
1-27 | スピカ | あっ、ソフィーらも居んじゃんか。 | ||
1-28 | ブラッディ | おっ、スピカたちが来た来た。 | ||
1-29 | スピカ | ジーク・ジオン! | ||
1-30 | ちゆり | みんな、お待たせ。 | ||
1-31 | ブラッディ | これで全員だね。 それじゃ、二人一組に分かれて、ちゃっちゃと済ませるか。 とりあえず、アタシとクロエは滝の周りの遊歩道、 咲希といよのボインコンビは、噴水と藤棚の周りな。 | ||
1-32 | 咲希 | ラジャー! | ||
1-33 | いよ | わかった…… けど、ボインって、ブラッディには言われたくないな…… | ||
1-34 | ブラッディ | んで、ソフィーと美弥のスナイパーコンビは 森の遊歩道を頼むよ。 | ||
1-35 | ソフィー | All right! | ||
1-36 | 美弥 | 了解した。 | ||
1-37 | ブラッディ | で、スピカとちゆりっと。 | ||
1-38 | スピカ | Ok! かしこまりジュリアーノ〜。 | ||
1-39 | ちゆり | りょうかーい。 | ||
1-40 | ブラッディ | それじゃ、始めようか。 スピカたちは滝の所から川岸を下って行ってくれ。 | ||
1-41 | スピカ | おっ、ラッキー! | ||
1-42 | [ちゆり] | なぜ、スピカが『ラッキー』って言ったのか、 実は、この聖バレンシア女子学院にある自然庭園は 人工的に作られた物ではなくて、 ある種の魔法技術を用いた現実空間なの。 って、解りやすくいうと、 人も踏み入らない山奥の実際にある場所の一部分を 空間ごと切り取って学院内に移植してあるんです。 まあ、それは普通の生徒や先生が知らないことなんですけどね。 だから、きっとスピカ的には、 山奥の川沿いだから涼しいって思ったんじゃないかしら。 私も、そのはずだったんだけど、さんさんと照りつける太陽が、 川面に反射して眩しいくらいの川岸を、 上流から下流に向かって歩いていました。 | ||
(BGM) | (「お出かけ日和」終了) | |||
(SE) | (川辺の音 開始) | |||
1-43 | スピカ | 暑いな〜、カンカン照りじゃんか。 なあ、ちゆりー、 こんな山奥の川にゴミなんて あるわけないじゃん。 | ||
1-44 | ちゆり | ほんと暑いわね。 これじゃ遊歩道の方が木陰もあってよかったかもね (笑) ――ってスピカ、あれっ!? | ||
1-45 | スピカ | うん? あれって? | ||
1-46 | [ちゆり] | 私たちの十メートルほど先に! 見つけたくないモノが目に入ったのです。 そして思ったとおりのモノが川岸にありました。 ――それは、白い体毛をびっしょりと濡らし横たわる、 二匹の小型犬だったのです。 | ||
(BGM) | (「華舞」開始) | |||
1-47 | スピカ | ……犬の死体か。 | ||
1-48 | ちゆり | ……かわいそう。 | ||
1-49 | スピカ | たぶん、上流から流されてきた野犬の子供だな。 | ||
1-50 | ちゆり | どうしよう、スピカ。 | ||
1-51 | スピカ | このままにはしとけないし、 もう一度、川に流すしかないだろ。 | ||
1-52 | ちゆり | えっ? 埋めてあげないの。 | ||
1-53 | スピカ | 埋めるったってなー。 | ||
1-54 | ちゆり | 川に流すのなんてかわいそうよ。 | ||
1-55 | スピカ | かわいそうって、もう死んでんだしなー。 | ||
1-56 | [ちゆり] | 私はスピカの言うことを聞かずに この子たちを埋めてあげようと思い、 小さい方の一匹を抱き抱えました。 | ||
1-57 | スピカ | おいおい、ちゆり、なにしてんだよ! | ||
1-58 | ちゆり | ……だって……。 ――って、スピカ! この子、まだ生きてるわよ! | ||
1-59 | スピカ | !? マジか? こっちのは? こいつも少しだけど心臓は動いてるっぽい! | ||
1-60 | ちゆり | でも全然動かない! どうしよう! スピカ!? | ||
1-61 | スピカ | ……クロエだ! あいつならなんとかできるんじゃないか! | ||
1-62 | [ちゆり] | そして、私とスピカは二匹の犬を抱き抱えて クロエの所まで一目散に走りました。 | ||
(BGM) | (「華舞」終了) | |||
(SE) | (川辺の音 終了) | |||
1-63 | ナレーターA | 【場所は変わって 滝の周りの遊歩道にて】 | ||
(BGM) | (「危機的状況」開始) | |||
1-64 | スピカ | おーい! クロエー! | ||
1-65 | ブラッディ | あ〜? なんだあいつら? | ||
1-66 | スピカ | ブラッディ、クロエは? | ||
1-67 | ブラッディ | って、スピカ! なに抱えてんのよ?! | ||
1-68 | スピカ | 見りゃわかんだろ、クロエは? | ||
1-69 | ちゆり | はぁーはぁー、クロエはどこ? | ||
1-70 | ブラッディ | って、おいおい、ちゆりまで。 | ||
1-71 | クロエ | どうしたの、スピカ? | ||
1-72 | スピカ | あっ、クロエ! この犬、動かないんだ、死にかけてんだよ! ヒールできないか! | ||
1-73 | ちゆり | お願い! クロエ! | ||
1-74 | クロエ | ……あっ、ほんとだ、この子ら、死にかけてるね。 ヒールはべつにできるけど―― スピカ……これ犬じゃないよ。 | ||
1-75 | スピカ | はぁ? | ||
1-76 | クロエ | この子たち、犬じゃなくて、オオカミよ。 それに普通のオオカミじゃない。 | ||
1-77 | スピカ ちゆり ブラッディ | オオカミ!? | ||
(BGM) | (「危機的状況」終了) | |||
(BGM) | (「クレマチス」開始) | |||
1-78 | [ちゆり] | 驚いている私たちを他所目に クロエが二匹のお腹を摩ると 前足と後ろ足をバタつかせたあと、 閉じられていた目が スッと開きました。 | ||
1-79 | ブラッディ | おっ、生き返った。 | ||
1-80 | [ちゆり] | スピカに抱かれていた子が激しく暴れて地面に降り立つと、 何かを探しているような素振りでくるくるとその場を回り、 私の胸に抱かれた子犬を見つけると、 私に向かって威嚇の姿勢を取りました。 | ||
1-81 | スピカ | 痛ってーなコイツ! | ||
1-82 | ちゆり | 大丈夫よ、大丈夫だから。 今、この子を下ろしてあげるから。 さあ、お母さんの所に行って…… | ||
1-83 | ブラッディ | こいつら親子か? | ||
1-84 | スピカ | ……兄弟なんじゃね | ||
1-85 | [ちゆり] | 二匹は縺れ合うように身を寄せてその場に蹲ると、 怯えたような目で私たちを交互に見つめました。 | ||
1-86 | ブラッディ | なあ、クロエ? あんたさっきオオカミ? って言ったよね? | ||
1-87 | クロエ | うん。この子たち、犬じゃなくて…… オオカミはオオカミだけど、 人狼の子供だよ。 | ||
1-88 | スピカ ちゆり ブラッディ | 人狼!! | ||
1-89 | クロエ | そう。さっき力を回復させたから、 人間の姿になれるはずなんだけど…… 人の形にしよっか? | ||
1-90 | ブラッディ | んなこと、できるのか? | ||
1-91 | クロエ | できるよ―― ピピルマ、ピピルマ、プリリンパ、 パパレホ、パパレホ、ドレミンパ、 オオカミよ、人間になぁーれ。 | ||
1-92 | [ちゆり] | 著作権と使用権を無視したクロエの呪文で 二匹が二人の人間の子供の姿になりました。 | ||
1-93 | ブラッディ | 今のセリフ、大丈夫か? | ||
1-94 | スピカ | ピー入れとけば、いんじゃね。 | ||
1-95 | [ちゆり] | こうして人間の姿になった二人に事情を訊いた私たちの…… さぶらいぶぺが生アフレコ用の物語が始まるのです。 | ||
(BGM) | (「クレマチス」終了) | |||
(ジングル) | (「Runaway」) | |||
2-1 | ミサキ | さてさて、彼女たちに平穏という 言葉は似合わないようですね。 それでは 《第二章 オオカミの姉弟》 に参りましょう。 | ||
(ジングル) | (「Fight oh!!」) | |||
(BGM) | (「夢見の夜」開始) | |||
2-2 | [ブラッディ] | スピカたちが拾ってきたオオカミの 子供は人狼の姉弟だった。 クロエが、二匹を人間の姿にしてから、 アタシらはこの子たち、 人狼の話を聞くことにしたんだ。 どうやら、お姉ちゃんオオカミは 人間の年齢に見立てると十歳くらいか、 弟オオカミ君は五歳くらいみたいだった。 なぜだか知らないけど、 お姉ちゃんオオカミが、私を凝視してるんだ。 あちゃー……なんかめんどくさいことになりそうだな…… | ||
2-3 | スピカ | おまえら、どうしてあんな所で死にかけてたんだ? | ||
2-4 | ちゆり | ちょっと、スピカ。 | ||
2-5 | ブラッディ | なあ、お姉ちゃんオオカミ、 ずっとアタシを見てるけど、 アタシになんか付いてるか? | ||
2-6 | ちゆり | ブラッディも。 | ||
2-7 | クロエ | 大丈夫、あたしたちは人間じゃないよ。 | ||
2-8 | [ブラッディ] | クロエは、オオカミの姉弟に そう言うと、 人間の姿から山猫の姿に 変化して見せた。 | ||
2-9 | 人狼姉 | ! 化け猫…… | ||
2-10 | ちゆり | そうよ。だから安心して。 | ||
2-11 | 人狼姉 | ……そしたら、そこの赤い髪の女が化け猫の女王なのか。 | ||
2-12 | ブラッディ | アタシのことか? | ||
2-13 | 人狼姉 | ……なにか怖いくらいの、ものすごい妖力を感じる。 | ||
2-14 | ブラッディ | (笑) 女王か、嬉しいけど、化け猫じゃないよ。 アタシは魔族なんだ。 | ||
2-15 | スピカ | (笑) たしかに、女王様っぽいよな (笑) | ||
2-16 | 人狼姉 | 魔族の女王……そ、そうか。 そして緑の帽子の、おまえからは山神さまの匂いがする。 | ||
2-17 | スピカ | ボクかい? | ||
2-18 | 人狼姉 | そう。 | ||
2-19 | スピカ | う〜ん? ……なんとなく解るな、ダタラッチのせいか。 ――オホン! よくわかったな、オオカミの子供よ。 我は山神の化身、すべてを打ち明けるとよいぞ! | ||
2-20 | ちゆり | ちょっとスピカ! 何バカなこと言ってんのよ。 | ||
2-21 | 人狼弟 | それじゃあ、お姉ちゃんは女神さまなの。 | ||
2-22 | ちゆり | えっ? わたし? | ||
2-23 | 人狼弟 | うん。お姉ちゃんに抱かれてるとき、 すごくいい匂いがして、温かくて気持ちがよかった。 | ||
2-24 | ちゆり | え、えーと、そ、そ、そうね私は女神の中の女神よ。 あなたたち姉弟を助けるために来たんだから。 | ||
2-25 | スピカ | (笑) なんだそれ (笑) | ||
2-26 | ブラッディ | ……アンタらねー。 | ||
(BGM) | (「夢見の夜」終了) | |||
(BGM) | (「モノクロの夢」開始) | |||
2-27 | 人狼姉 | お願い、神様! 姉さまを助けて! 一緒に人狼の里に来て! | ||
2-28 | ブラッディ スピカ ちゆり (クロエ) | あねさま?(にゃぁ?) | ||
2-29 | [ブラッディ] | どうやら姉弟の話では 満月の日に《婚礼の儀》が執り行なわれるらしく、 姉弟の姉さまが無理やり結婚させられようとしているらしい。 そして一族に無理やり連れ去られた。 姉弟は姉さまの結婚を止めさせたいと 人狼の里のお婆に相談したそうだ。 お婆が言うには川下にある 人間が作った《古の庭園》という場所に行けば 助けがあると占いに出たそうで、 姉弟は何日もかけて川を下ってきたらしいが、 途中で弟君が川に落ちて 助けに入ったお姉ちゃんもどうやら溺れて ここまで流されたようだね。 | ||
2-30 | ナレーターB | ☆ 小説では詳しく、プロローグにて | ||
2-31 | ちゆり | スピカ、助けてあげましょう。 | ||
2-32 | スピカ | 助けるっていってもなー。 子供の話だし、あちらの事情にそんな簡単に 首つっこんでいいものかどうか。 | ||
2-33 | 人狼姉 | お願いです。 山神さま、姉さまを助けてください。 姉さまには好きな、ジェイソン兄ちゃんがいるんです! | ||
2-34 | スピカ | ジェイソン兄ちゃん? | ||
2-35 | 人狼姉 | はい。姉さまはジェイソン兄ちゃんと結婚したいんです。 | ||
2-36 | ブラッディ | ちょっと待った。 それじゃあ、姉さまってのは、誰と結婚するんだ? | ||
2-37 | 人狼姉 | 知らないけど、ジェイソン兄ちゃんじゃなくて、 外国から来たオオカミ王の子供って言ってました。 | ||
2-38 | ちゆり | ……ブラッディ、もしかして、 これって、よくある政略結婚なんじゃないの? | ||
2-39 | ブラッディ | なんか、それっぽいな。 | ||
2-40 | スピカ | マンガかよ。やめやめ、 そんなんに首突っ込んだら、 ヤバいって。 | ||
2-41 | ちゆり | スピカ。 | ||
2-42 | ブラッディ | なあ、お姉ちゃん、 そのジェイソン兄ちゃんってのは、どこにいるんだ? | ||
2-43 | 人狼姉 | 人間の街です。 | ||
2-44 | ブラッディ | 人間の街? それって、人間として街で暮らしてるってことなのか? | ||
2-45 | ナレーターB | ☆ ちゆりの膝の上でおとなしくしていた人狼の弟が ちゆりの顔を見上げてにっこりと笑った。 | ||
2-46 | 人狼弟 | 人間なんだ。 | ||
2-47 | ちゆり | えっ? 人間? | ||
2-48 | ブラッディ | 人間って。 | ||
2-49 | スピカ | でたでた。ほら、めっちゃヤバい展開じゃん。 人間とオオカミ女のロマンスだろ? 無理無理、ぜったい不幸になるだけだって。 | ||
2-50 | ちゆり | スピカ! | ||
2-51 | ナレーターB | ☆ ちゆりに怒鳴られたスピカはブラッディを見た。 そして自身の発した言葉の重大性に後悔した。 | ||
2-52 | スピカ | あっ、ごめん…… | ||
2-53 | ブラッディ | 気にしてないよ、スピカ。 たしかに応援しがたいってのは正直なところだけど…… なんでかな……アタシが魔族と人間の混血だからかな、 この子らの力になりたいって……思うんだよ。 | ||
2-54 | ちゆり | ブラッディ。 | ||
(BGM) | (「モノクロの夢」終了) | |||
(BGM) | (「Sunrise」開始) | |||
2-55 | スピカ | ……うなぁぁー! わかったよ! しゃーねぇなー、おまえら、 ボクらがなんとかしてやるよ…… って、また大佐に怒られそうだけど。 | ||
2-56 | ブラッディ ちゆり | スピカ。 | ||
2-57 | 人狼姉 | ほんと! ありがとう、神様! | ||
2-58 | スピカ | おい、クロエ、どうする? | ||
2-59 | ナレーターB | ☆ スピカに訊かれた山猫の姿だったクロエが 一瞬で人間の姿に戻る。 | ||
2-60 | クロエ | 面白そうだから、やってみるのもいいかも。 | ||
2-61 | スピカ | まあ、ネコ神さまが言うんじゃ、やるっきゃないよな。 決まりだな。 で、どうする? | ||
2-62 | ナレーターB | ☆ クロエが行き止まりのはずの 小さな滝を指さした。 | ||
2-63 | クロエ | このまま川を上って行けば、 そう時間もかからずに人狼の里に着くよ。 | ||
2-64 | スピカ | いやいや、そりゃ無理だろう。 こいつら、ここに来るまで何日もかかったんだろ。 それに、ここ一応行き止まりみたいに作ってあるし、 結界の向こうには行けないじゃん。 | ||
2-65 | クロエ | 大丈夫だよ。 この子たちはただオオカミ側が作った 特殊結界の中を彷徨ってただけだし。 川に落ちた時点でそれが解消されただけ。 あたしにも学院側のこの強力な結界は破れないけど、 ブラッディの魔法なら大丈夫だと思う。 | ||
2-66 | ブラッディ | アタシの魔法が? | ||
2-67 | クロエ | この結界には、魔族の力が大きく関与してる。 おそらく作ったのは人間の魔法使いが知ってる術式じゃない。 古の魔族だと思う。 ブラッディの術式にはそれに該当する悪魔文字が 多数あるのは知ってたから、きっと大丈夫。 | ||
2-68 | スピカ | クロエ、おまえって、なんでも知ってんだな。 | ||
2-69 | クロエ | そんなことない、知ってることだけ。 | ||
2-70 | スピカ | んじゃ、今から行きますか。 | ||
2-71 | ちゆり | 今からって、準備とかいろいろしないと。 | ||
2-72 | スピカ | 軍人たるもの、緊急出動なんて当たり前じゃん。 | ||
2-73 | ちゆり | 私は軍人じゃないし、それに学校はどうするのよ。 | ||
2-74 | スピカ | まあまあ。 なあ、クロエ、おまえなら時間修正はできるんだろ? | ||
2-75 | クロエ | できる。 そもそもこの学院自体が特殊な結界の中にある。 通常世界の時間軸とは別の存在だから全然可能。 人間には無理だけどあたしなら可能。 | ||
2-76 | スピカ | ほらな。 | ||
2-77 | ちゆり | だったら、用意してからでも遅くないじゃない。 | ||
2-78 | ブラッディ | そうだよスピカ、 作戦を立てて、みんなにも協力してもらおう。 | ||
2-79 | スピカ | ノンノンノン。 二人ともわかってないなー。 | ||
2-80 | ちゆり ブラッディ | なにが? | ||
(BGM) | (「Sunrise」終了) | |||
(BGM) | (「Steep Out」開始) | |||
2-81 | ナレーターB | ☆ スピカは左手首に巻かれた 大き目のミリタリーウォッチを チラッと見ると、 右の掌で庇を作るようにして、 真上の太陽を仰ぎ見た。 | ||
2-82 | スピカ | 14時半か…… ブラッディ、気づいてないか? | ||
2-83 | ブラッディ | なにが? | ||
2-84 | スピカ | 太陽の位置だよ。 こいつらを見つけてからの、この一時間あまり、 太陽が動いてない。 というか動いてはいるんだけど、 一時間前の高さのままなんだ。 | ||
2-85 | ブラッディ | えっ? どういうことスピカ? | ||
2-86 | スピカ | こいつらを見つけた時点で、ボクらの時間軸が こいつらの世界の時間軸に切り替わってるんだよ。 まあ、解りやすくいえばすでに平行世界にいるってことさ。 だよな、クロエ? | ||
2-87 | クロエ | そうなる。 もとの時間軸の世界に戻ることも可能だけど、 人狼たちとは会わなかったことになる。 スピカたちの場合は普通の人間じゃないから 記憶は残るかもしれないけど保障はできない。 | ||
2-88 | スピカ | で、今日は何日だと思う、ちゆり? | ||
2-89 | ちゆり | 13日の金曜日、じゃないの? | ||
2-90 | スピカ | だったら余裕もあったんだろうけど、 太陽の高さからすると、たぶん次の日の14日の土曜日、 オオカミたちの好む、ほんとの満月が上る日だと思う。 ってことは、もう、時間がないってことだよ。 | ||
2-91 | ちゆり | それじゃ、スピカ、私たちは未来にいるってことなの? | ||
2-92 | スピカ | に、なるのかな? クロエ? | ||
2-93 | クロエ | そうとは言えないし、そうとも言える。 | ||
2-94 | ブラッディ | ならアタシたちが昨日に戻って、 もし今の記憶が残っていたら、 そっちの方が都合がいいんじゃないのか? | ||
2-95 | クロエ | だから保障できない。 | ||
2-96 | ブラッディ | クロエが覚えていたらいいんじゃないのか? | ||
2-97 | クロエ | それもどうなるか解らない。 | ||
2-98 | スピカ | なっ、だから今からやるんだよ。 | ||
2-99 | ちゆり | ねえ、クロエ、質問なんだけど、 アニメとかであるじゃない、 昨日に戻って、未来の自分たちを 陰から助けるみたいな、こともできるの? | ||
2-100 | スピカ | ちゆりってば、ま〜た、面白がってんな。 | ||
2-101 | ちゆり | 違うわよ! 失敗しないようによ! | ||
2-102 | クロエ | ちゆり、アニメじゃないから、それは無理かも。 同一世界、同じ時間軸の中では記憶を共有できる 複数個体の存在は許されないから、 肉体としては存在できても目的意識は別のものになる。 | ||
2-103 | ブラッディ | もし、アタシらに会えても、意味を成さないってことか? | ||
2-104 | クロエ | おそらく、会えない。そんな話はアニメだけ。 | ||
2-105 | ちゆり | それじゃ、明日の、じゃない 今日の時間の私たちはどうしてるのよ? | ||
2-106 | クロエ | ここ、この時間にいる。 | ||
2-107 | ちゆり | どういうこと? パッと消えてたりするの。 | ||
2-108 | クロエ | 消えない。今が明日だから。 | ||
2-109 | ブラッディ | 訳が解らん。 | ||
2-110 | スピカ | って、ちゆりもブラッディも脱線しすぎなんだよ。 んなこと昨日に戻って明日になれば解るじゃん。 とにかく、今はこいつらの姉さまをどうにかするために、 殴り込みをかけようぜ。 | ||
2-111 | [ブラッディ] | そしてアタシは クロエに言われたとおり、 なんの変哲もない 空間防御結界解除の魔法陣を作った。 こんなので大丈夫かと思ったけど、 魔法陣を通り抜けると、 行き止まりのはずの滝の向こうには 延々と果てしなく小川が続いていた。 | ||
(BGM) | (「Steep Out」終了) | |||
(ジングル) | (「Runaway」) | |||
3-1 | ミサキ | おやおや、彼女たちは なんて冒険好きなんでしょうね。 それでは 《第三章 ジェイソンの覚悟》 に参りましょうか。 | ||
(ジングル) | (「Fight oh!!」) | |||
(BGM) | (「ブラインド」開始) | |||
3-2 | [スピカ] | ボクらが、犬、じゃなかった オオカミの姉弟を見つけたころ、 ソフィーたちは今回の異変に 気付いたみたいだった。 | ||
3-3 | ナレーターA | 【場所は変わって森の遊歩道にて】 | ||
3-4 | ソフィー | ! 今、なにか感じなかった、美弥? | ||
3-5 | 美弥 | たぶん、空間が一瞬、歪曲した。 | ||
3-6 | ナレーターB | ☆ 木々の枝を飛び渡りながら天草いよが来る。 | ||
3-7 | いよ | おーい、今、変な妖力を感じたんだけど。 | ||
3-8 | ナレーターB | ☆ 天草いよにおぶさっていた海藤咲希が地面に降り立つ。 | ||
3-9 | 咲希 | よいしょっと、知ってる魔力が四つ消えたみたいだね。 | ||
3-10 | ソフィー | スピカ、たちね? | ||
3-11 | 咲希 | 間違いないね。 | ||
3-12 | ソフィー | 咲希、どのへんに空間異常を感じる? | ||
3-13 | 咲希 | ちょっと待って。――小川全体とその遊歩道にかけて? かな。 | ||
3-14 | ソフィー | 美弥、マクロフォディアで見れる? | ||
3-15 | 美弥 | 今やってる。 スピカ、ちゆり、ブラッディ、クロエの四人の姿が…… 学院内のどこにもない…… | ||
(BGM) | (「ブラインド」終了) | |||
(BGM) | (「深い森」開始) | |||
3-16 | ナレーターA | 【場所は変わって 小川沿いの山中にて】 | ||
3-17 | [スピカ] | そのころ、ってそのころになるのか? ああ、次の日のほうが適切だね (笑) ボクらは人狼の里に向かって川を上っていた。 | ||
3-18 | ちゆり | まだ着かないのー? | ||
3-19 | スピカ | 暑いぃー! なあ、オマエら、もう、一時間近く歩いてんだけど、 いつになったら着くんだよ。 | ||
3-20 | 人狼姉 | もうすぐ、あの滝の向こう。 | ||
3-21 | スピカ | はあ? 滝? そんなのどこにあるんだよ? | ||
3-22 | ちゆり | はぁはぁ、滝なんてないじゃない。 | ||
3-23 | スピカ | ブラッディ、ちょっと飛んで見てきてよ。 | ||
3-24 | ブラッディ | そうだな。斥候してくるか。 ブラッディーウィーング! | ||
3-25 | スピカ | いちいち叫ぶなよ。 | ||
3-26 | ナレーターB | ☆ ブラッディは川上を目指して飛んでいった。 しばらくして、遠くからブラッディの大声が聞こえた。 | ||
3-27 | ブラッディ | ス、スピカー!! | ||
(BGM) | (「深い森」終了) | |||
(BGM) | (「広がる世界」開始) | |||
3-28 | [スピカ] | ボクらは空中に浮かぶ ブラッディの足元にまで着いたとき、 驚愕を隠せないでいた。 目の前には大空が広がり、 今まで隣を流れていた川はなくなり、 ボクらの足元には数百メートルにも 及ぶ高さの滝が現れた。 そう滝、ボクらは断崖の頂上にいたんだ。 そして眼下に広がる異様な町並みに言葉を失うしかなかった。 | ||
3-29 | ちゆり | なに?! ここ!! スゴーい!! | ||
3-30 | クロエ | すごい所に来たかも。 | ||
3-31 | スピカ | まてまてまて、ウソだろ! | ||
3-32 | ブラッディ | これは、たまげたなー。 | ||
3-33 | [スピカ] | 川がいきなり逆流? そして大きな滝に? いやいやそれはよくないけど、 いいとして…… 異質極まりないのが、町並みだった。 日本にあるべくもない、 それはアニメに出てくるような ファンタジー世界によくある中世の町並みだった。 それに、それに、なに! あのでっかい城はぁぁぁー。 | ||
(BGM) | (「広がる世界」終了) | |||
(BGM) | (「異国の風」開始) | |||
3-33B | [スピカ] | その時だった。 人狼の姉弟がなにかに反応して 走り出した。 | ||
3-34 | ジェイソン | ――『レイワ、レイワ』 | ||
3-35 | 人狼姉 | あっ、あの声……聞こえる…… ジェイソン兄ちゃんの声、姉さまを呼んでる。 | ||
3-36 | 人狼弟 | ジェイソン兄ちゃんだ! | ||
3-37 | ナレーターB | ☆ 森の中を駆け出す人狼の姉弟。 | ||
3-38 | ちゆり | ど、どうしたの!? あなたたち、どこ行くの! | ||
3-39 | スピカ | ブラッディ! | ||
3-40 | ブラッディ | ああ、追っかける! | ||
3-41 | [スピカ] | そしてボクらも人狼姉弟の後を追ったんだ。 | ||
3-42 | スピカ | どうしたんだよ、おまえら? | ||
3-43 | ちゆり | どうしたの、あなたたち? | ||
3-44 | 人狼姉 | この向こうから、この木の中から、 ジェイソン兄ちゃんの 声が聞こえるの。 | ||
3-45 | ブラッディ | ずっと、森が続いてるだけだぞ。 | ||
3-46 | ナレーターB | ☆ クロエが大木に手を触れた。 | ||
3-47 | クロエ | 木の中からか。う〜ん。これかな? | ||
3-48 | ちゆり | なに!? 大木に扉が現れた。 | ||
3-49 | クロエ | よっと、あれ? 押してダメなら引いてみろと、あれ? 開かないな。 | ||
3-50 | スピカ | なんで? こんなとこに扉があるんだよ。 | ||
3-51 | ちゆり | もしかして、街まで降りるエレベーターだったりして。 | ||
3-52 | クロエ | ブラッディー、ちょいちょい。 ここにさっきの魔法陣をピンストライプしてみてよ。 | ||
3-53 | ブラッディ | ああ、ブラッディー・ピンストライプ魔法陣! | ||
3-54 | スピカ | だから、いちいち叫ぶなっての。 | ||
3-55 | ちゆり | あっ、開いた。 | ||
3-56 | [スピカ] | すると扉の向こうに ボクらと同年代くらいのイケメンが立っていた。 人狼の姉弟は素早く扉を通り抜けてイケメンに抱き付いたんだ。 | ||
3-57 | 人狼姉弟 | ジェイソン兄ちゃーん。 | ||
3-58 | スピカ ちゆり ブラッディ | ジェイソン? | ||
3-59 | ナレーターB | ☆ 空間にいきなり現れた 魔法陣の中から オオカミの姉弟が飛び出してきた。 | ||
3-60 | ジェイソン | おまえたち!? | ||
3-61 | 人狼姉弟 | 姉さまが、姉さまが! | ||
3-62 | ジェイソン | レイワがどうした? | ||
3-63 | 人狼姉 | 姉さまが、姉さまが結婚させられちゃう。 | ||
3-64 | ジェイソン | やっぱりか、 レイワがいつものファミレスに 来ないと思ったら…… クソっ! | ||
3-65 | スピカ | おーい、お取り込み中悪いんだけど、 そっちに行ってもいいかなー? って、こっちの声は聞こえてないか…… | ||
3-66 | ナレーターB | ☆ スピカたちも扉を通り抜けた。 | ||
3-67 | ジェイソン | なんだ! おまえら!? 女子高生? ネコ耳娘に、 その背中の羽、悪魔か! | ||
3-68 | ブラッディ | アタシらは、怪しいもんじゃないよ。 その子たちをたまたま助けたんだよ。 | ||
3-69 | ジェイソン | いや、じゅうぶん怪しいんだが…… それはいいとして、この子らを助けた? | ||
3-70 | ブラッディ | ああ、川で死にかけてたところをね。 アンタがジェイソンかい? 見てのとおりアタシらは人間じゃない。 | ||
3-71 | ジェイソン | 見ればわかる。 俺がジェイソンだ、渾名だけど、 おまえらは一体? | ||
3-72 | 人狼姉 | 魔王さまに山神さまなの。 | ||
3-73 | 人狼弟 | それに女神さま。 | ||
3-74 | 人狼姉 | 化け猫もいるけど、姉さまを助けてくれるの。 | ||
3-75 | ジェイソン | ま、魔王に神様…… | ||
3-76 | ブラッディ | 魔王さまね。まあ、そんなところだね。 アタシはブラッディ……で、ここはどこなんだ? | ||
3-77 | ジェイソン | 木屋平村の瀧宮神社前の……い、一応、バス停なんだけど。 | ||
3-78 | ブラッディ | バス停? ここがか? | ||
3-79 | ジェイソン | ああ、レイワがいつもここから バスに乗ってくるって言ってたから、 レイワを捜しに来たんだ。 | ||
3-80 | ちゆり | ねえ、スピカ、ここって、見覚えない? | ||
3-81 | スピカ | ……あるに決まってんだろ。 ウガァー、なんなんだよ、この設定、 ソロモンにあるバス停が人狼の里への出入り口ってか! この作者、バカにしてんのか! | ||
3-82 | ちゆり | え〜と。ここって、奈良県じゃないわよね…… 徳島県のソロモンよね。 | ||
3-83 | スピカ | おい! クロエ! これどういうことだよ! | ||
3-84 | クロエ | あたしだって、知らないことはある。 | ||
(BGM) | (「異国の風」終了) | |||
(BGM) | (「風の音」開始) | |||
3-85 | ブラッディ | スピカ、うるさい。 原作者の設定、そんなことはどうでもいいよ。 なあ、ジェイソンとかいうあんた、 事情はなんとなく解ってるのか? | ||
3-86 | ジェイソン | ああ、レイワからは、 なんとなく聞かされていた。 知らない相手と無理やり 結婚させられるって、 そうなれば、もう俺とは 会えなくなるって。 | ||
3-87 | ブラッディ | レイワって娘が、人間じゃないこともか。 | ||
3-88 | ジェイソン | ……ああ知ってる。 ……オオカミだってことも…… | ||
3-89 | ブラッディ | そうか、なら、話が早い。 もう一度言っとく、アタシは人間じゃない。 そのアタシが言うんだ、心して聞きなよ。 アタシらは、あの子らに頼まれて、 《婚礼の儀》ってやつをブッ潰しに行く。 だけど、アンタのためにやるのにはどうも腑に落ちない。 人間と化け物が幸せになれるなんて話は おとぎ話でもそうそうあるもんじゃない…… もし仮に、レイワって娘があんたを食ってでも一緒になりたい、 愛し合いたいと言ったら、 あんたは黙って食われる覚悟はあるのか。 相手は人間じゃないんだ。住む世界が違う――。 ――オマエ≠フ覚悟が知りたい。 | ||
3-90 | ジェイソン | お、俺はレイワを愛している。 レイワがそれを望むなら、 俺は食われても構わない―― 魔王、《婚礼の儀》を潰してくれ。 その代償として俺の魂をくれてやる。 だから、だから、レイワを自由に、 自由にしてやってくれ、頼む〔泣き〕 | ||
3-91 | スピカ | おいおいブラッディ、たとえが無茶苦茶だな。 | ||
3-92 | ちゆり | ……よく言ったわ、ジェイソンさん! この私、女神中の女神が絶対に、 レイワさんを助けてあげる! | ||
3-93 | スピカ | ええぇ〜。 | ||
3-94 | ちゆり | スピカ、行くわよ! | ||
3-95 | スピカ | ……はいはい。 | ||
3-96 | ブラッディ | ジェイソン、アンタの覚悟は解った。 | ||
3-97 | ナレーターB | ☆ ちゆり、スピカ、ブラッディの三人が 背中を向けて魔法陣の中に消えていく。 | ||
3-98 | ジェイソン | お、俺も連れていってくれ! | ||
3-99 | クロエ | 君はこっちの世界でレイワさんを待っていてあげて、 おそらく《婚礼の儀》を潰されたレイワさんは 二度とあっち側では生きていけないと思う。だから―― あっ、それと人間の君じゃ、 どうせ役に立たない足手まといだからね。 まあ、こうなるのは全部、 君がレイワさんを惚れさせたのが原因なんだよ。 君の責任だからちゃんと最後まで面倒みてあげなくちゃね。 | ||
3-100 | スピカ | ……クロエのやつ、しれっと止め刺すな。 ちゆりに似てきたんじゃないか。 | ||
3-101 | ちゆり | なんか言った? | ||
3-102 | スピカ | いえいえなにも。 | ||
3-103 | ちゆり | じゃあ、いざ! ブラックローゼス特務隊! 出陣よ!! | ||
3-104 | [スピカ] | こうして、ボクらは人狼の姉弟と共に レイワさんのいる人狼の里を目指したんだ。 | ||
(BGM) | (「風の音」終了) | |||
(ジングル) | (「Runaway」) | |||
4-1 | ミサキ | ジェイソン君、 なかなかのイケメンでしたね。 と、そんなことより あのジェイソン君、 なかなか肝が据わった人間ですね。 突然に現れた人狼の里への 魔法陣に驚きもせず、 はたまたブラッディウイングを見ても眉ひとつ動かさなかった。 いったい何者なんでしょうか? 今後、彼が大和まほろば奇鬼妖神シリーズに どう関わっていくのかは今後のお楽しみとしましょう。 それでは、《第四章 邂逅》の始まりです。 | ||
(ジングル) | (「Fight oh!!」) | |||
(BGM) | (「ひみつ基地」開始) | |||
4-2 | [ちゆり] | 私たちは不思議なくらいすんなりと 人狼の里に入ることができました。 アニメのように大きな城壁や門が あるわけではなかったし、 綺麗に整備された石畳の道を ただ悠然と歩きながら、 だけど一番気がかりだったのは町に人の気配がなかったのです。 | ||
4-3 | ブラッディ | おまえたち、この町には誰もいないのか? | ||
4-4 | 人狼姉 | そんなことない。でもなんで誰もいないの? | ||
4-5 | スピカ | いやいや、こっちが訊いてんだけど。 | ||
4-6 | ちゆり | ねえ、あなたの姉さまの《婚礼の儀》っていうのは、 あのお城でするのかしら? | ||
4-7 | 人狼姉 | よく知らないけど、たぶん。 | ||
4-8 | クロエ | お婆っていう人狼の所に行ってみたら。 | ||
4-9 | スピカ | おっ、それいい考えだな。 なあ、おまえら案内してくれよ。 | ||
4-10 | 人狼姉 | お城にいる。 | ||
4-11 | ブラッディ | なら、やっぱり城だな。 たいていラスボスとか、それにそういう儀式は 城でやるのが普通だろ。 | ||
4-12 | スピカ | まあ、おきまりだね。 | ||
4-13 | [ちゆり] | と言いながら、なんやかんやで10分もしないうちに お城に着いちゃいました。 お城の大きな入口の前には、 ……すごく、違和感あるんですけど…… 何台もの自動車が駐車されていました。 ……馬車とかじゃないのね。 | ||
4-14 | スピカ | おっ! かっけぇー。 まるで四駆の展示会場みたいだな。 あっ、ランボルギーニLM002じゃん! かっけぇえー。 | ||
4-15 | [ちゆり] | スピカが指さした真っ赤な四輪駆動車の運転席のドアが開き、 一人の女性が降りてきました。 | ||
4-16 | スピカ | あいつは!? リンダ・ファーイ! | ||
(BGM) | (「ひみつ基地」終了) | |||
(BGM) | (「ボス登場」開始) | |||
4-17 | リンダ | 鉄拳? なぜここに? | ||
4-18 | [ちゆり] | そして、助手席からも見知った人物が現れました。 | ||
4-19 | 時雨 | どうしたん? あれ? スピカ先輩やん。 | ||
4-20 | スピカ ちゆり | 鹿名時雨! | ||
4-21 | ブラッディ | おまえら、あいつら知り合いなのか? | ||
4-22 | クロエ | ちなみに、あたしも知ってる。 | ||
4-23 | スピカ | ああ、ちょっとスペインでね。 | ||
4-24 | [ちゆり] | それから、後部座席の両扉が開き 二人の人物が降り立ちました。 | ||
4-25 | スピカ | ジリンスカス少佐にリアン!? | ||
4-26 | ちゆり | うわぁー、すごく綺麗な人ね。 | ||
4-27 | ブラッディ | あの人は!? | ||
4-28 | [ブラッディ] | アタシの目はその女性に釘付けにされた。 太陽の光を眩しく反射させる美しい銀色の長い髪に、 すべてを見透かすような、妖しく輝く琥珀色の瞳の女性に。 アタシは覚えている。 十年前、アタシをあの地獄から救い出してくれた あの人のことを。 | ||
4-29 | スピカ | ブラッディ? ジリンスカス少佐を知ってるのか? | ||
4-30 | ブラッディ | あ、ああ、あんまり昔のことは覚えてないんだけど、 あの人のことだけは、はっきりと覚えてる。 アタシはあの人に助けられたんだ。 | ||
4-31 | スピカ | 助けられた? って、まさか十年前の妖怪大戦争の時のか! | ||
4-32 | ニーナ | あれは? スピカ・スカイユ。 ――うん? それにあの娘…… 魔王サテライヤの忘れ形見か? | ||
4-33 | ちゆり | スピカ、こっちに来るわ。 | ||
4-34 | [ブラッディ] | あの人が、あの人が近づいてくる…… アタシの目の前に……。 | ||
4-35 | ニーナ | ……大きくなったわね。 私のこと、覚えているかしら? | ||
4-36 | ブラッディ | あ、あ、あの……覚えています…… あの時は……助けてくれてありがとう。 | ||
4-37 | ニーナ | フフフ、どういたしまして。 | ||
4-38 | スピカ | それより、なんで少佐たちがここにいるんですか? | ||
4-39 | ニーナ | スピカ、おまえこそ、それは、私が訊きたいんだが。 | ||
4-40 | スピカ | え、えーと、ソロモンの監視任務中…… | ||
4-41 | ちゆり | あ、あの私たち、この子たちのお姉さんの友人で、 結婚式に呼ばれたんです。 | ||
4-42 | スピカ | お、おい、ちゆり。 | ||
4-43 | ニーナ | 結婚式? フッ、――そうか。 ――スピカ、事情はよく解らんが騒ぎは起こすなよ。 | ||
4-44 | スピカ | あ、は、はい…… | ||
4-45 | [ブラッディ] | そう言って、あの人《ジリンスカス少佐》は、 城の入口へ向かっていく。 入れ替わりにスピカたちがスペインで会ったという二人の女が こちらにやってきた。 | ||
(BGM) | (「ボス登場」終了) | |||
(BGM) | (「Scirocco」開始) | |||
4-46 | 時雨 | 先輩、久しぶりやね〜。 こんな所でなにしてるん? | ||
4-47 | リンダ | ……スピカ少尉、あの娘は、ついなちゃんは元気かしら。 | ||
4-48 | [ブラッディ] | ピンポンパンポーン♪ この二人《鹿名時雨とリンダ・ファーイ》については、 ボイスドラマ《鬼っ子ハンターついなちゃん第32話》での ゲスト主人公なんで ついなちゃんのボイスドラマを聴いてくれれば解るぞ。 | ||
4-49 | スピカ | ああ、ついなちゃんは元気だよ。 で、おまえらがなんでここにいるんだよ? | ||
4-50 | 時雨 | うちらは、ニーナ少佐の護衛任務かな。 日本は久しぶりや言うてな。 まあ、うちも日本は何十年ぶりやから。 ところで先輩は、なんでこんな所におるん? | ||
4-51 | リンダ | 時雨、そういえばここはソロモンだったわね。 ということは少尉の管轄だから、いても不思議じゃないわよ。 | ||
4-52 | 時雨 | ふーん。 | ||
4-53 | スピカ | ……そ、そういうことだよ。 | ||
4-54 | 時雨 | ふーん、ほんなら、先輩、また後でな。 | ||
4-55 | リンダ | あっ、そうそうスピカ少尉、 これをついなちゃんに渡しておいてくれないかしら、 逢うことはないと思っていたんだけど。 | ||
4-56 | スピカ | これは? | ||
4-57 | リンダ | スペインのおみやげ、 山猫クロエのペンダント、お守りよ。 市販の物だけど、 こちらで少しばかり魔除けの術式を施してあるの、 逢えるなんて思ってもいないのに、なぜかしらね、 日本に行くって決まったらあの娘にあげたいと思ってね…… 余計なお世話だったら少尉が捨てておいて、それじゃあね。 | ||
4-58 | スピカ | ちっ……捨てれるわけないじゃん〔小声〕 | ||
4-59 | クロエ | あたしはここにいるんだけどな。 | ||
4-60 | [ブラッディ] | そしてアタシらは、 あの人ニーナ・ジリンスカス少佐たちとは別に、 人狼の姉弟と城の裏口から城内に入ることになったんだ。 当初の目的では人狼のお婆に会って 事情を訊くはずだったんだけど、 姉弟達に連れられて入った部屋には、 姉さまと呼ばれるレイワって娘がいたんだ。 | ||
(BGM) | (「Scirocco」終了) | |||
(BGM) | (「白昼夢」開始) | |||
4-61 | ナレーターA | 【場所は変わって 城内のレイワの寝室にて】 | ||
4-62 | 人狼姉弟 | 姉さまー。 | ||
4-63 | レイワ | あなたたち! どこに行っていたの、心配したのよ! | ||
4-64 | 人狼姉 | 神様たちを連れてきたよ。 姉さまを助けてくれるの。 | ||
4-65 | レイワ | 神様? 助ける? | ||
4-66 | ちゆり | あなたが、この子たちの姉さま? | ||
4-67 | レイワ | !? なに! あなたたちは! | ||
4-68 | スピカ | ボクらは、こいつらが川辺で弱ってたところを助けたんだ。 そしてあんたの事情を聞いてね。 こいつらに頼まれて 《婚礼の儀》ってやつをぶっ壊しにきたんだ。 | ||
4-69 | レイワ | どういうこと? | ||
4-70 | ちゆり | あなたが無理やりに結婚させられるって聞いたのよ。 | ||
4-71 | ブラッディ | その儀式を止めさせる。 | ||
4-72 | クロエ | あたしたち事情はよく解ってないんで、 詳しく教えてくれない? | ||
4-73 | レイワ | ……あなたたちは、 自分たちの部屋に戻ってなさい。 わたしは神様たちと 大事なお話があるの。 | ||
4-74 | 人狼姉 | 姉さま〔心配そうに〕 | ||
4-75 | レイワ | ありがとう、神様たちを連れてきてくれて、 大丈夫だから、ね、お願い。 | ||
4-76 | 人狼姉 | うん、解った〔渋々〕 | ||
4-77 | レイワ | ……あなたたちが何者かは 知らないけど、 ここ人狼の里に来られたってことは 普通の人間じゃないのね。 ……あの子たちを助けてくれて ありがとう。 それにあの子たちのわがままに付き合ってくれて感謝するわ。 | ||
4-78 | スピカ | なら、あんたを助けてかまわないんだよな。 | ||
4-79 | レイワ | ……あなたたち、この町を見て、不思議に思わない? | ||
4-80 | ちゆり | すごい、ファンタジックな町並みね。 | ||
4-81 | スピカ | 潰れたテーマパークみたいだな。 | ||
4-82 | ブラッディ | ……生気がまったくない。 | ||
4-83 | レイワ | ……そう。この町は死にかけているのよ。 | ||
4-84 | スピカ | 死にかけてる? どういうことだよ? | ||
4-85 | レイワ | ほかの人たちを見かけた? | ||
4-86 | クロエ | ほかの人狼とは出会わなかった。 | ||
4-87 | レイワ | きっと、みんなもう城の大広間に集まっているわ。 それもたかだか30名ほどの老人ばかりよ。 | ||
4-88 | ブラッディ | お世辞にも広い町とは言えないが、 住んでるのが、それっぽっちとは思えないんだけどな。 | ||
(BGM) | (「白昼夢」終了) | |||
(BGM) | (「セピアの影絵」開始) | |||
4-89 | レイワ | この町はね、大昔に魔族の王が、 人狼たちのために作った場所なの。 昔は何百人も住んでいたそうよ。 だけど時が経つにつれてだんだんと その数を減らしていったわ。 その理由の一つが…… ここ人狼の里を作ったその魔王が死んでから、 町を維持する魔王の魔力の供給がなくなって、 六十年に一度、人柱をたてて、そう、 乙女の生贄によって魔力を回復させる儀式が必要になったの。 そんなことまでして、この町にしがみついているのが嫌になった 一族の人狼たちは少しずつ町を捨てていったわ。 | ||
4-90 | ちゆり | 人柱? 結婚式じゃないの? | ||
4-91 | レイワ | 妹たちが、そう言ったのね。 無理もないわ、 子供たちには、本当のことなんて 話せないもの。 | ||
4-92 | ブラッディ | その生贄ってのがあんたか? | ||
4-93 | レイワ | そうね。 | ||
4-94 | ブラッディ | それは、どうなる? | ||
4-95 | レイワ | 永遠の死を意味するわ。 | ||
4-96 | スピカ | まてまて、死ぬってことか? それであんたはいいのか? | ||
4-97 | レイワ | ……仕方がないわ。この町を守るためだもの。 | ||
4-98 | ちゆり | ちょっと、おかしいわそんなの! 素敵な町だけど、30人くらいしか住んでないんでしょ? | ||
4-99 | スピカ | そこかよ。 | ||
4-100 | レイワ | それでも、わたしたち一族が、 昔からずっと行ってきたことだから。 私が生まれてきた意味だから。 | ||
4-101 | ちゆり | そんなの、そんなのありえないわよ! | ||
4-102 | スピカ | ちっ…… | ||
4-103 | ブラッディ | ……レイワ。……アタシらはジェイソンと会った。 | ||
4-104 | レイワ | !? 彼と会った! | ||
4-105 | ブラッディ | ああ、アイツはアタシにこう言った。 アンタを愛してる、アンタを自由にしてやってくれって、 そのためにアタシに命を差し出すってね。 | ||
4-106 | レイワ | ……ジェイソン〔泣き〕 | ||
4-107 | ブラッディ | アタシはアイツの覚悟に約束した。 アンタを自由にしてやるって。 | ||
4-108 | レイワ | そんなの無理よ! 私たち一族の、一族の掟なのよ! そんなことできるわけないじゃない!!〔泣きながら〕 | ||
4-109 | スピカ | 掟だー、あんたバカじゃないのか。 そんな理不尽な掟、ボクは認めない。 掟が掟じゃなくなればいいんだろ。 こんな腐れテーマパーク、ボクらの力で…… 一瞬で灰にしてやるよ。 | ||
4-110 | ちゆり | スピカ! | ||
4-111 | クロエ | スピカとちゆりの合わせ技の 雷撃爆裂魔法《ヘヴィメタル》でなら可能だけど、 それはやりすぎかも。 | ||
4-112 | レイワ | スピカ? …… | ||
4-113 | スピカ | じゃあ、どうすんだよ! | ||
4-114 | ブラッディ | レイワ、生きてジェイソンに会いたくないのか? | ||
4-115 | レイワ | 会いたいわよ! 会いたいわよ! あの人と一緒に生きていきたいわよ―― でも、どうにもならない! ――わたしだけならいいと思ってる、 だけど次はきっと妹たちの子供が私と同じ運命をたどる! これは掟なのよ!〔泣きながら〕 | ||
4-116 | スピカ | だから言ってんだろ! こんな町、壊してやるって!! | ||
4-117 | ブラッディ | うるさい! スピカ! | ||
4-118 | スピカ | はぁ〜? | ||
4-119 | ブラッディ | そんな単純なことじゃないんだよ、 そんな単純なことじゃ。 | ||
4-120 | クロエ | まあまあ、二人とも。 二人が熱くなってどうするニャ。 | ||
4-121 | スピカ | ちっ、ニャって、 おまえはあい≠ゥよ。 | ||
4-122 | ちゆり | スピカ、落ち着いて。 | ||
(BGM) | (「セピアの影絵」終了) | |||
(BGM) | (「あの日あの時」開始) | |||
4-123 | クロエ | とりあえず、《婚礼の儀》は 間違いなく今夜だと思う。 これを逃せば一年後じゃないと 儀式は成立しない。 ってことは、レイワさんが 今夜、人柱にならなければ この町は崩壊するね。 となると……スピカ、ソロモンへの影響をどう考える。 | ||
4-124 | レイワ | ソロモン? スピカ? …… | ||
4-125 | スピカ | ソロモンへの影響? | ||
4-126 | クロエ | そう、このオオカミの町はソロモンの中にあるんだよ。 この町が消滅すれば、ソロモンの時空バランスが乱れて、 ソロモン自体の結界が壊れかねない。 そうなれば、スピカは困るんじゃないかな。 | ||
4-127 | スピカ | なら、なんかいい方法があるてっのか? | ||
4-128 | クロエ | 今は言えない。 けど、ブラッディになら、なんとかできると思う。 | ||
4-129 | ブラッディ | アタシに? | ||
4-130 | スピカ | なんだよ? はっきり言えよ、クロエ! | ||
4-131 | クロエ | それが、あたしにも、今はよく解らないんだよね。 そんな気がするだけなの。 | ||
4-132 | スピカ | ちっ、それでも神様かよ、めんどくせーな。 | ||
4-133 | ブラッディ | じゃあクロエ、どうするんだ? | ||
4-134 | クロエ | とりあえず、あたしたちも儀式に参列する。 そしたら、たぶん、解ると思う。 | ||
4-135 | レイワ | あなた、スピカって、もしかして、 ソロモンの守護神、スピカ・スカイユなの? | ||
4-136 | スピカ | スピカ・スカイユはボクだけど、 守護神って、なんだよそれ。 | ||
4-137 | レイワ | わたしを覚えてない? 木屋平の山小屋で小さいころ 一緒に遊んだオオカミよ。 | ||
4-138 | スピカ | オオカミ? 遊んだ? ……も、もしかして、基地で大佐によく懐いてた、 銀毛の犬の…… 思い出した! レイワって犬か! | ||
4-139 | レイワ | そうよ、スピカ! ……犬じゃないけど…… | ||
4-140 | [ブラッディ] | どうやら、人狼の娘レイワと スピカは 過去に出会っているらしかった。 俄然ヤル気になったスピカは、 この町の人狼たちが崇める ソロモンの守護神の名前を利用して、 《婚礼の儀》の参列を希望、 アタシらは、スピカの子分ってことで同席を許されたんだ。 そして、儀式が始まろうとする逢魔が時、 アタシらは、スピカを先頭に 分厚く重い大きな扉が開かれた大広間に案内された。 儀式の祭壇の中心にはレイワが寝かされ、 祭壇の下に、あの人ニーナ・ジリンスカスが こちらを睨むようにして立っていたんだ。 | ||
(BGM) | (「あの日あの時」終了) | |||
(ジングル) | (「Runaway」) | |||
5-1 | ミサキ | 出会いとは不思議なものです。 偶然なのか、 否、もはや必然でしか ありませんね〔小笑〕 さて、いよいよ城内に潜入した スピカたち、 《婚礼の儀》の参列にまで漕ぎつけましたが、 儀式の妨害は、うーん、うまく行くとも思えませんね。 それでは、《第五章 王の血を受け継ぐもの》スタートです。 | ||
(ジングル) | (「Fight oh!!」) | |||
(BGM) | (「Drain」開始) | |||
5-2 | [リアン] | 私の名前は 《リアン・フェルナンデス大尉》、 モヨケイツーの剣・第13独立大隊の 副指揮官だ。 そして、人間じゃない。 人狼ってことでよろしく頼む。 人狼の里で久しぶりに会ったスピカだが、 ソロモンの監視任務でも《婚礼の儀》の招待客でもなかった。 スピカのことだから、なにかやらかすとは思っていたが。 ピンポンパンポーン♪ 尺の都合上、大幅カットで進めるぞ。 スピカと会ってから三時間後の城の大広間での茶番劇から 物語は始まるんだが……。 | ||
5-3 | ナレーターA | 【城内の大広間にて】 | ||
(BGM) | (「Drain」終了) | |||
(BGM) | (「ゴシック・ナイト」開始) | |||
5-4 | スピカ | その儀式、ちょっと待ったー! | ||
5-5 | リアン | ニーナ、案の定だ。始めやがったぜ。 スピカのやつ、バレバレだってのに。 | ||
5-6 | ニーナ | もう少し、黙って観ていようじゃないか。 | ||
5-7 | スピカ | ソロモンの守護神、スピカ・スカイユの名に於いて命ずる! なんていうか、その、人柱は中止だ! | ||
5-8 | (ガヤ) | ――ザワザワ | ||
5-9 | [リアン] | そりゃ、ザワつくわな。 スピカは知らないだろうが、あいつが城内に入った時点から、 こちらの部下の耳のいい奴に監視をさせていた。 《婚礼の儀》を潰しにきたことは、早々にわかってたんだが、 クロエって娘の 「ブラッディにならなんとかできる」って言葉に ニーナがえらく興味を惹かれたみたいだ。 それにスピカがどう動くのか面白そうだから しばらく自由にさせておけってことでこの有様なんだがな。 | ||
5-10 | 人狼町長 | スピカさま、なんと申されましたか。 人柱を中止せよと! それでは、永きに亘って生き続けてきた この町を屠るというのですか?! | ||
5-11 | スピカ | レイワの命を使ってかよ? そんなのボクが許すと思ってんのか? | ||
5-12 | 人狼町長 | レイワには、それが運命、 レイワもそれは重々承知の上、 これが我ら一族の掟なのです。 | ||
5-13 | ちゆり | 掟、掟って、あなたたち、時代遅れにも程があるわよ。 人の命を使うですって、 そんなこと、この女神の私、真田ちゆりが許さないわよ! | ||
5-14 | ニーナ | フッ、あの、黒髪、自分で女神と言うか。 | ||
5-15 | リアン | 話に聞いてる雷神憑きの娘だね。 化け物に向かって、あんな啖呵、 スピカの相棒なだけはあるわ。 ……さて、ニーナ、そろそろ私が行こうか? | ||
5-16 | ニーナ | 好きにしろ。 | ||
(BGM) | (「ゴシック・ナイト」終了) | |||
(BGM) | (「Shred Dance」開始) | |||
5-17 | リアン | スピカ! 久しぶりに会ってなんだが、 いくらソロモンの守護神といっても、 オオカミの世界のことに、 いちいち首つっこんでんじゃねーぞ。 | ||
5-18 | スピカ | リアン、そんなこと関係ないね。 ボクはレイワを守る、それだけさ。 | ||
5-19 | リアン | おまえは、昔から融通が利かないんだよ。 言ってるだろ、早死にするぞって。 | ||
5-20 | スピカ | 大きなお世話だよ、師匠。 | ||
5-21 | [リアン] | 私は素早くヒップ・ホルスターから拳銃を引き抜いた。 アタックで私より早い抜き打ち魔銃士はいない。 まあ、弟子のスピカを除いてはな。 両肩に二発ほど撃ち込んでおけば黙るだろう。 さすがに丸腰のスピカに負けはしないと高を括ってたんだが。 | ||
5-22 | ブラッディ | スピカ! つっこめ! 防御魔法陣! | ||
5-23 | ナレーターB | ☆ スピカの前に魔法陣が展開し、 リアンが放った二発の銃弾を弾き返した。 | ||
5-24 | リアン | なっ! 魔法シールドか! あの赤髪!! げッ! スピカ! | ||
5-25 | スピカ | 終わりだぁー! | ||
5-26 | [リアン] | かはっ! 私はスピカにあっさりと懐に潜り込まれて 腹に一発もらっちまった。 なんてスピードだ、一瞬にこの距離を詰めんのかよ。 ってそうか、サイクロプスを使役してから 魔力が上がったっていってたっけ。 それと鉄拳のスピカ、 そういえばステゴロの方が得意だったよな。 | ||
5-27 | スピカ | リアン、まだ、やるか? | ||
5-28 | リアン | やるなスピカ。こりゃ、私も本気を出さねぇとな。 | ||
5-29 | [リアン] | スピカの右肩を掴んた私はそう呟くと、 すぐさま獣人モードに変身した。 | ||
5-30 | スピカ | なっ?! リアン、おまえ!! | ||
5-31 | リアン | 驚いたか、私も実はオオカミなんだよ。 | ||
5-32 | スピカ | マジか! かっけぇー! | ||
5-33 | リアン | あん? こんなときに、なに言ってんだよ。 余裕ってか! | ||
5-34 | ニーナ | リアン、もういい。 | ||
5-35 | [リアン] | スピカの言葉に拍子抜けした私にニーナの声がかかった。 | ||
5-36 | ニーナ | スピカ、騒ぎを起こすなと言ったはずだが。 | ||
5-37 | スピカ | 少佐、少佐が人狼だってのは 大佐から聞いてたから知ってたけど、 まさかリアンもそうだったとは知らなかった。 だからなんですか? この儀式に二人がいるのは? それともアタックの任務と関係があるんですか? | ||
(BGM) | (「Shred Dance」終了) | |||
(BGM) | (「審判の日」→「不倶戴天」開始) | |||
5-38 | ニーナ | 任務ではない…… それはな、 私がオオカミ王の正統なる血を 受け継ぐ者だからだよ。 話はレイワから聞いたのだろう? 魔王の魔力がなくなった今、 触媒となる赤き石と私の血が混じり合うことで、 この町の魔力核炉は動き出す。 これは、魔王とオオカミ王の契約によるものだ。 | ||
5-39 | スピカ | 赤き石? | ||
5-40 | ニーナ | 赤き石だ。 レイワの血族の乙女にのみ強制的に赤き石が魔術精製されるよう 魔王が自らの血を分け与えたシステムだ。 赤き石の精製にはレイワの魂が必要となる、すなわち死だ。 | ||
5-41 | スピカ | だから、レイワが死んでいいわけはない。 | ||
5-42 | リアン | スピカ、この町はな、 人狼にとっての最後の聖域なんだよ。 | ||
5-43 | スピカ | だからって。 | ||
5-44 | ニーナ | そこの、クロエとか言ったか、すべてを話したぞ。 さあ、どうする。 それにブラッディ、私がおまえを救ったように、 今度はレイワをおまえが救う番ではないのか? | ||
5-45 | クロエ ブラッディ | あたし(アタシ)? | ||
5-46 | [リアン] | ニーナはそう言い終えると、 スピカの目の前に歩み寄り、私を退かせた。 | ||
5-47 | スピカ | 少佐、マジで止めてくれませんか…… | ||
5-48 | ニーナ | スピカ、おまえらは何をしようとしているのか 解っているのか? これはわれら一族にとっての大事な儀式だぞ。 それを壊すことがどういうことか。 ――まあいい、今は軍務ではない。 ――鉄拳のスピカ、 私は一度、おまえと戦ってみたかったんだよ。 大佐が執拗におまえを擁護する本当の意味を知りたいんだよ。 | ||
(BGM) | (「不倶戴天」終了) | |||
5-49 | スピカ | 少佐といえど、ボクのジャマはさせない。 | ||
5-50 | リアン | スピカ、バカか、あいつ。 | ||
(BGM) | (「Crossing」開始) | |||
5-51 | ニーナ | そうか、いい答えだ。 ――来い! 餓沙王。 | ||
5-52 | [リアン] | ニーナが右手を高々と持ち上げた。 吹き抜けの高い天井に設けられた 天窓の一つが砕け散ったかと思うと、 落雷のごとき光が ニーナの掌に吸い込まれた。 刹那ニーナの体全体が金色に輝く。 咄嗟にスピカは後方に飛び退く。 そして、そこに現れたのは愛剣餓沙王を持った、 半獣モードのニーナだった。 | ||
5-53 | スピカ | なんて、プレッシャーだ! | ||
5-54 | ニーナ | スピカ、殺す気でこいよ。 | ||
5-55 | ちゆり | スピカぁー! | ||
5-56 | スピカ | ちゆり、遠くに離れてろ。 | ||
5-57 | ダタラッチ | 『そろそろ、私の出番かな』 | ||
5-58 | スピカ | おそいぞ! ダタラッチ! 今までナニしてたんだよ。 | ||
5-59 | ダタラッチ | 『静観していたが。 しかし、これほど強力な魔力の塊を、 そうそう見れるもんではないのでな。 少し興味が湧いた』 | ||
5-60 | スピカ | 勝てそうか? | ||
5-61 | ダタラッチ | 『戦いとは、常に二手三手先を読んで行うものだ』 | ||
5-62 | スピカ | ちっ、言ってろ。行くぞ! ダタラッチ。 | ||
(BGM) | (「Crossing」終了) | |||
(BGM) | (「攻防戦」開始) | |||
5-63 | ナレーターB | ☆ ニーナとスピカの 激しい攻防が続く! | ||
5-64 | スピカ | クソ! 剣尖を見切るのに手いっぱいか。 | ||
5-65 | ニーナ | 残念だよスピカ、拳が私に掠りもしないぞ (笑) | ||
5-66 | スピカ | (微笑) 少佐に本気なんて出せるわけないじゃん〔疲れた感じ〕 | ||
5-67 | ニーナ | そうか、ならば本気を出させてやろう。 おまえの大事な――黒髪の娘を殺してな! | ||
5-67B | スピカ | ちゆりぃー! | ||
5-68 | [リアン] | ニーナが目にも止まらぬスピードで黒髪の娘に切りかかる! それ以上の速さでスピカも動いた! 黒髪の脳天を餓沙王が直撃するか否かの 寸でのところでスピカが黒髪を押し退け 眼前に迫る餓沙王を、赤く輝く両手で受け止めやがった。 マジか! | ||
(BGM) | (「攻防戦」終了) | |||
(BGM) | (「GAZE」開始) | |||
5-69 | ニーナ | ほう、やればできるじゃないか。 | ||
5-70 | スピカ | 少佐ぁぁー、あんたはボクを本気で怒らせた…… 殺す! | ||
5-71 | ナレーターB | ☆ スピカの碧眼が金色に変色した。 | ||
5-72 | ニーナ | フハハハハハ、いいぞ、スピカ、その目だ、 その目を待っていたぞ! | ||
5-73 | [リアン] | ピンポンパンポーン♪ この生アフレコショーじゃ、 戦闘シーンを表現するのって 結構無理があるんだよな。 まあ、これはアニメじゃないと 面白くないと思うんで、 壮絶な戦闘シーンはカットってことで了承してくれ。 で、まあ、二人の攻防の末、餓沙王の剣先が スピカの目の前で止まったところからってことでよろしく。 | ||
5-74 | クロエ | ストーップ! | ||
5-75 | スピカ | なんだ?! 手足が動かない | ||
5-76 | ニーナ | フッ、やっと答えが見つかったか。 | ||
5-77 | ダタラッチ | 『スピカ、足元を見ろ』 | ||
5-78 | スピカ | 魔法陣! ブラッディか! | ||
5-79 | ブラッディ | クロエが答えを導き出した。 二人はもう戦わなくてもいいよ。 レイワも、この町も救えるんだ。 | ||
(BGM) | (「GAZE」終了) | |||
(BGM) | (「思案のとき」開始) | |||
5-80 | [リアン] | ブラッディって娘が魔法陣を解くと、 スピカがその場にへたりこんだ。 たぶん私だけが気づいたと 思うんだが、 ニーナの指先とつま先が 僅かに動いていたことに。 おそらくニーナにはブラッディって娘の 呪縛魔法は効いてなかったみたいだな。 | ||
5-81 | ニーナ | そうか、ならば、その方法を聞かせてくれるかな? | ||
5-82 | ブラッディ | アタシの血だ。 | ||
5-83 | スピカ | 何言ってんだよ、ブラッディ。 | ||
5-84 | ナレーターB | ☆ ブラッディは自身の爪を伸ばすと、手首に切り傷を付けた。 したたり落ちる血液が床に落ちると同時に 赤い血は液体ではなく、 コロンと音をたてて床を転がる小さな赤い石となった。 | ||
5-85 | ブラッディ | 思い出したんだよ。アタシが悪魔族に囚われていた日のことを、 アタシは毎日毎日血を採られていた。 なぜだかは解らなかったけど、 たぶんこれが奴らにとっての私を生かしておく理由だったんだ。 流れた血がなぜ石になるのか解らなかった。 きっと魔族の血を半分受け継いでいるからだと、 魔族ってのはこんなもんなんだと。 だけどクロエが教えてくれたんだ。 | ||
5-86 | クロエ | 確証はなかったけど、どの世界かの魔王の血が 赤き石《エリクサー》の原点だってのを思い出したの。 それと魔王が作った祭壇の悪魔文字の中に ブラッディがよく使う同じ形の文字が読み取れた気がしてね。 もしかしてと思ってブラッディに出血させてみたら、 《エリクサー》になっちゃったからね。 | ||
5-87 | ブラッディ | だからアタシの血があれば、レイワは死ななくてすむはずだ! | ||
5-88 | ニーナ | 上出来だ! しかし、今はよくても、六十年後の儀式はどうする? その次の六十年後は? 魔王のいない今、この儀式は未来永劫続くのだぞ。 | ||
5-89 | ブラッディ | そ、それは、その時に考える。 | ||
5-90 | ニーナ | 人間臭いことを、尤もらしく言えるおまえたちには、 やはり理解などできまいな。 ブラッディ、いいことを教えてやる。 もう自分でも気づいているだろう。 おまえは、この町を作った魔王サテライヤと 人間の間に生まれた子供なんだよ。 解るか? この意味が、 私の同族が死ななくていい、触媒の赤き石などに頼らず、 おまえが魔力核炉と一つになれば この町は永遠に生きることができるぞ。 | ||
(BGM) | (「思案のとき」終了) | |||
(BGM) | (「宵のカラス」開始) | |||
5-91 | ちゆり | バカじゃないの。 それって、あなたが言った 人間臭い≠チてことじゃない! ブラッディによく言えたもんね。 | ||
5-92 | スピカ | ちゆり、止せ! | ||
5-93 | ブラッディ | ……いいよ。 もともとアタシの命なんてなかったようなもんさ、 あなたに救われてなきゃね。 アタシ一人の命でこの先、だれも死ななくていいなら、 アタシの命なんかくれてやるよ! | ||
5-94 | スピカ | バカ言うな! | ||
5-95 | ちゆり | バカ言わないで、ブラッディ。 | ||
5-96 | ブラッディ | いいんだよ、スピカ、ちゆり。 あんたらと過ごした日々は本当に楽しかったよ。 たぶん、こうなるのがアタシの運命だったんだよ。 今までありがとな。 | ||
5-97 | スピカ | ボクは許さないぞ! | ||
5-98 | ちゆり | ブラッディィー! | ||
5-99 | クロエ | ――えっと、もう、いいかな…… ブラッディは死ななくても大丈夫なんだけど。 | ||
5-100 | ちゆり | クロエ? どういうこと? | ||
5-101 | クロエ | オオカミ王のお姫さまはもうわかってたと思うけど、 今までこの町を生かしてきた魔力核炉は 不測の事態用に作られた緊急用のサブユニットなんだよ。 これは稼働時間が六十年しかもたない。 仕方のないことだけど触媒の赤き石を作るのに、 どうしてもレイワさんの一族の犠牲が必要だったの。 だけどメインの魔力核炉が動きだせばサブは必要なくなるのね。 そしたら魔王の血を受け継ぐ者、その魔力が絶えない限り メインの魔力核炉が止まることはないよ。 | ||
5-102 | ブラッディ | なら、魔王の子であるアタシが生まれているのに、 なぜ、メインの魔力核炉は止まってたんだ? | ||
5-103 | クロエ | それは、魔王が死んだからだけど。 | ||
5-104 | ブラッディ | なら、アタシはいつ生まれたんだ? | ||
5-105 | クロエ | 魔王がいつ死んだと思う。 この世界ではもう二千年以上も前になるかな。 | ||
(BGM) | (「宵のカラス」終了) | |||
(BGM) | (「陰影」開始) | |||
5-106 | ニーナ | ほう、そんなにも大昔とはな。 私が知る限りメインの魔力核炉は数百年完璧に止まっていた。 それが十五年前、急に再起動を始めたんだよ。 なぜだと思う、魔王の血を受け継ぐ者の存在だ。 | ||
5-107 | スピカ | 少佐! ってことはブラッディはタイムトラベルして、 この世界に来たってことなんですか? | ||
5-108 | ニーナ | フッ、そうなんだろうな。 まるで夢のような話だが、それ以外に考えられまい。 | ||
5-109 | ブラッディ | ア、アタシが過去から来た…… | ||
5-110 | ニーナ | 私達、人狼側の組織とモヨケイツーの剣は、 五年もかけてようやくおまえに辿り着いたよ。 おまえがこの世界から消滅してもらっては困るのでな。 | ||
5-111 | スピカ | うん? ちょっと待てよ? 少佐? 今、再起動……って言いましたよね。 | ||
5-112 | ニーナ | そうだな。 | ||
5-113 | ちゆり | なに? ってことは、人柱なんて必要ないんじゃ? | ||
5-114 | クロエ | ないね。メインの魔力核炉はもう動いてるし。 あたし、さっき『今までは』って言ったんだけど。 | ||
5-115 | スピカ ちゆり | ってことは? | ||
5-116 | リアン | スピカ、ニーナの性格を理解しろよ。 | ||
5-117 | スピカ | えええ〜! | ||
5-118 | ニーナ | そういうことだ。 | ||
5-119 | ちゆり | なら! 儀式はなんのためにしようとしたのよ! | ||
5-120 | リアン | やれやれ、ニーナに向かって、スゴイなこの娘。 | ||
5-121 | ニーナ | 《婚礼の儀》は、我ら一族にとっての神聖な儀式だ、 止めることなどできるはずもない。 ……まあ、これからは、今日までに 命を賭して町を守ってくれた 数多の兄弟たちを弔う儀式となるだろうな。 | ||
(BGM) | (「陰影」終了) | |||
(BGM) | (「星に祈りを」開始) | |||
5-122 | スピカ | な、なんだったんだよ。 | ||
5-123 | ニーナ | スピカ、楽しませてもらったぞ。 | ||
5-124 | スピカ | ボク、殺されかけてたんですけど。 | ||
5-125 | ニーナ | 貴様が死ぬタマか―― フフッ、おまえを殺せば、私が大佐に殺されるよ。 それだけは勘弁してくれ (笑) | ||
5-126 | [リアン] | とんだ茶番劇だったな。 ――そうそう、実のところ、人狼の里の者には メインの魔力核炉が復活していることは 知らされていなかったんだ。 今日の儀式で打ち明けられるはずだったんだが、 まさか、スピカたちの乱入があるとは、 さすがのニーナもこればっかりは予想してなかったんだよな。 | ||
5-127 | 人狼町長 | 姫様、それでは、レイワの命は、 レイワは助かるのですか?! | ||
5-128 | ニーナ | 端からそのつもりだったが、 ソロモンの守護神が余計なことをしてくれたおかげで、 言いそびれただけだがな。 | ||
5-129 | 人狼町長 | おお〜、ありがとうございます、ありがとうございます。 | ||
5-130 | ニーナ | 礼は、そこの魔王の娘に言うんだな。 | ||
5-131 | ブラッディ | アタシが過去から来た……二千歳……二千歳…… | ||
5-132 | ちゆり | ブラッディ、ブラッディ、しっかりしてよ! | ||
5-133 | ブラッディ | はっ、ち、ちゆり、ア、アタシは何歳に見える? | ||
5-134 | ちゆり | なにバカなこと言ってんのよ! わたしたちと同い年でしょ! | ||
5-135 | ブラッディ | そ、そうだよな。 | ||
5-136 | ちゆり | そんなことより、 まだ、やらなきゃいけないことがあるでしょ。 | ||
5-137 | ブラッディ | やらなきゃいけないこと? | ||
5-138 | ちゆり | ジェイソンよ。 | ||
5-139 | ブラッディ | はっ、そうか。 | ||
5-140 | 人狼町長 | 魔王さま、レイワの命を救っていただきありがとうございます。 | ||
5-141 | ブラッディ | あんたがレイワのオヤジか。 アタシに感謝するんなら、 一つアタシの頼みを聞いてくれないかな。 | ||
5-142 | 人狼町長 | はあー、なんなりとお申し付けください。 | ||
5-143 | ブラッディ | レイワを、レイワを結婚させてやってくれ。 | ||
5-144 | 人狼町長 | け、結婚!? あ、あ、あの、魔王さまの嫁にということでしょうか? | ||
5-145 | ブラッディ | ち、ちがうよ! 人間の男とだ。 | ||
5-146 | 人狼町長 | 人間と! | ||
5-147 | ブラッディ | これが、アタシからの頼みだ。 | ||
5-148 | 人狼町長 | ……そ、それは、人里に住む若者のことでしょうか? | ||
5-149 | ブラッディ | 知ってるのか? | ||
5-150 | 人狼町長 | はい。前々から人間の男と会っているのは知っていましたが―― ど、どういたしましょう、ひ、姫様? | ||
5-151 | ニーナ | ブラッディ、我ら人外の者は、 人間とは生きる時間も心的傾向も違う。 それがどういうことを意味するか想像できるか? | ||
5-152 | ブラッディ | できます。アタシ自身がそうだから。 だからこそ解るんです。 スピカ達と出会って、アタシは変われた。 だから、だからこそ。 | ||
5-153 | ニーナ | 町長。だ、そうだ。 | ||
5-154 | 人狼町長 | 姫様。 | ||
5-155 | ニーナ | 魔王の頼みだ。仕方なかろう。 | ||
5-156 | リアン | ニーナ、いいのか? | ||
5-157 | ニーナ | ふっ、かまわんさ。 リアン、私も一度、人間の男を愛したことがあるんだぞ。 | ||
5-158 | リアン | ニーナが。 | ||
5-159 | ニーナ | ああ、そいつは私にこう言ったよ、 『おまえがなんであろうと、燃え上がればなにも見えなくなる、 それが俺の愛だ』とな。 | ||
5-160 | リアン | ……そいつは、もう死んだのか? | ||
5-161 | ニーナ | ピンピンしているよ。 私というものがありながら、今は他の女にご執心だ (笑) | ||
5-162 | リアン | ニーナ、もしかして、それって? | ||
5-163 | ニーナ | ふふ、さあな。 | ||
5-164 | [リアン] | 私はそれが誰なのか、解った気がしたが 口に出すのは止めにした。 茶番劇が終わって、 私たちは新たな《婚礼の儀》を無事に終わらせた。 スピカたちは、儀式には参加せず、 夜が更けきる前に来た道を帰ると言って城を出た。 | ||
(BGM) | (「星に祈りを」終了) | |||
(ジングル) | (「Runaway」) | |||
6-1 | ミサキ | さて、とりあえずは 丸く収まったようでなにより、 彼女たちの冒険はここまでです。 それでは 《第六章 少女たちの帰る場所》 で締め括りましょうか。 | ||
(ジングル) | (「Fight oh!!」) | |||
(BGM) | (「星の輝きの下で」開始) | |||
6-2 | クロエ | レイワさんを起こしてきたよ。 事情も記憶層にインストール しといた。 | ||
6-3 | ブラッディ | おまえってなんでもできるんだな。 | ||
6-4 | クロエ | なんでもはできない。できることだけ。 | ||
6-5 | レイワ | スピカ、ありがとう。 | ||
6-6 | スピカ | ボクよりブラッディにだろ。 | ||
6-7 | レイワ | 魔王さま、ありがとうございます。 さっき、姫様と父上からも聞きました、ジェイソンとのこと。 | ||
6-8 | ブラッディ | 幸せになりなよ。 それより、みんなにも礼を言っときな。 | ||
6-9 | レイワ | みなさん、ほんとにありがとう。 | ||
6-10 | ちゆり | ジェイソン君が浮気なんかしたら、とっちめてあげるから、 この女神さまに連絡するのよ。 | ||
6-11 | クロエ | 元気でね。 | ||
6-12 | 時雨 | せんぱーい! もう、帰るん? | ||
6-13 | スピカ | 時雨とリンダ。ああ、なんか疲れたからな。 | ||
6-14 | リンダ | 少尉、ソロモンの守護神として、 儀式の参加を頼まれていたじゃないの? それに泊まっていけって少佐にも言われていたのに、 もう帰っちゃうのかしら。 | ||
6-15 | スピカ | それだよ。それがめんどくさいんだよな。 どうせニーナ少佐のことだから、 バカ大佐の悪口を散々聞かされるのなんてごめんだよ、 あ〜ウザい。 | ||
6-16 | ちゆり | そうなんだ。 | ||
6-17 | スピカ | そっ、あの二人、昔っから、仲が悪いんだよ。 | ||
6-18 | ブラッディ | おーい、スピカ! おいてくぞー。 | ||
6-19 | レイワ | ありがとう、スピカ。 | ||
6-20 | スピカ | またな。 | ||
6-21 | [ちゆり] | そして、私たちはもと来た道を 歩いて、町の外に出ました。 もおぉ〜、ほんとは泊まって いきたかったのに! なんで暗い山道を歩いて 帰らなきゃなんないのよ! はぁー、クロエが言うには、 もといた時間に帰るには 同じ場所じゃなきゃいけないみたいなんです。 | ||
6-22 | クロエ | あっ、思い出した! | ||
6-23 | ブラッディ | なんだよ? | ||
6-24 | クロエ | レイワさんのことなんだけどね。人間にできるんだった。 | ||
6-25 | ブラッディ | ほんとうか? | ||
6-26 | スピカ | なんだよそれ? | ||
6-27 | クロエ | 正確には、オオカミになれなくして 人間の寿命を与えるって感じかな。 鹿名時雨ってネクロマンサーがいたでしょ。 あの子の魔術とブラッディの血液があれば可能なんだよね。 | ||
6-28 | ブラッディ | 赤き石でか? | ||
6-29 | クロエ | そう、ブラッディは知らないかも なんだけど、 赤き石はね、別名《賢者の石》 そして《エリクサー》って 呼ばれてて、 それを触媒に人間を不老不死にする 力があるのね。 それを行うのには、かなり高等な魔術が必要なんだけど、 鹿名時雨ならできる。 で、鹿名時雨がそれ≠やっちゃうと、 自動的にマミルカの呪いがレイワさんにかかっちゃうんだ。 すると人間が不老不死になる反対版になっちゃうんだよ。 | ||
6-30 | スピカ | 呪い? 聖宝マミルカのか、 あいつにそんなことできるのか? | ||
6-31 | クロエ | できる。鹿名時雨はマミルカの呪いを受けた、 この世界、唯一の存在だからね。 それにマミルカにすごく嫌われてるからね。 | ||
6-32 | ブラッディ | よくわからんが、その時が来れば、 そうしてやったらいいんじゃないか。 | ||
6-33 | ちゆり | そうね、レイワさんもジェイソンさんも、 二人ともまだ若いんだし、男の人からしてみれば、 奥さんがいつまでも若くてピチピチのほうがいいんだから。 | ||
6-34 | スピカ | ちゆりってば、発想がオヤジだなー。 | ||
6-35 | クロエ | さて、みんなどうする? 13日の金曜日に戻る? | ||
6-36 | ちゆり | まだ山の頂上じゃない? | ||
6-37 | クロエ | あれあれ。あの木、なんの木? | ||
6-38 | スピカ | バス停の入口があった大木か? | ||
6-39 | クロエ | そう、川を下らなくても、 あの木の扉から聖バレンシア女子学院に帰れる気がする。 今現在、あたしたちを想ってくれてるつくねたちがいれば、 扉の先はバス停じゃなくて、 14日の土曜日の今の時間だと思うんだけどな。 | ||
6-40 | スピカ | ほんとかよ……まあ、試してみるか。 | ||
6-41 | ブラッディ | そうだな……アタシはあの人、ニーナさんにも逢えたし、 レイワたちのことも忘れるのは嫌だから 14日の土曜日、今日でいいよ。 | ||
6-42 | ちゆり | ええ〜、過去に戻って実験したみたくないの?! | ||
6-43 | スピカ | ボクも今日でいいかな。 | ||
6-44 | ちゆり | ええ〜、スピカまで、なに言ってんのよー。 | ||
6-45 | クロエ | じゃあ、ちゆりだけ13日の金曜日に戻る? | ||
6-46 | ちゆり | って、なんで私だけなのよ! | ||
6-47 | スピカ ブラッディ クロエ | (笑) | ||
6-48 | スピカ | んじゃ、帰ろうか。 | ||
6-49 | [ちゆり] | そして、クロエが大木に触れると昼間の扉が現れました。 それ≠ノブラッディが魔法陣を描きました。 スピカがゆっくりと扉を開くと。 | ||
6-50 | 美弥 | あっ、帰ってきた。 | ||
6-51 | スピカ | おっ、みんな居んじゃん。 | ||
6-52 | クロエ | ただいまぁ。 | ||
6-53 | いよ 咲希 | おかえり (おかえりもぉー)。 | ||
6-54 | ブラッディ | どうして? みんな? | ||
6-55 | つくね | 今日はお月見、焼き鳥大吉上牧店出張バーベキューっちゃ。 | ||
6-56 | ちゆり | みんなぁ〜、心配かけたわね。 | ||
6-57 | つくね | 別に心配はしとらんばってん、 ちゆりたち抜きのお月見ナイトなんて面白かなか。 今夜は仕切り直したい。 | ||
6-58 | ソフィー | もう、みなさん心配かけさせないでくださいよ〜 (笑) | ||
6-59 | [ちゆり] | やっぱり友達って最高です。 そしてみんなで満月の下、 バーベキューを楽しみました。 おわり。 | ||
6-60 | スピカ | ……なんか? 忘れてないか? | ||
6-61 | ミサキ | おっと、これは失敬、 完全に忘れていました。 ジェイソン君ですが、 一晩中、バス停でスピカたちを 待っていたようですね…… そして、山頂から零れる 淡いピンク色の光に包まれだした ジェイソン君の目の前に、 人狼の里へと繋がる不思議な魔法陣が現れたかと思うと…… 朝日に照らされた…… | ||
6-62 | レイワ | ジェイソン…… | ||
6-63 | ジェイソン | レイワ、大丈夫だったのか? 魔王、あいつらは? | ||
(BGM) | (「星の輝きの下で」終了) | |||
(BGM) | (エンディング「Love Song For You」開始) | |||
6-64 | レイワ | 私を助けてくれて、帰っていったわ。 | ||
6-65 | ジェイソン | ……そうか……レイワ、 これからはずっと、ずっと俺と一緒にいてくれ。 | ||
6-66 | レイワ | ありがとう……うれしい…… |
公開アフレコのタイミングの参考にするために作成された
「仮組テキスト版」の音声データをダウンロードすることができます。
下記のリンクを右クリックし、「対象をファイルに保存」をクリックしてダウンロードしてください。
これらの音声データの全部・一部を二次配布することを一切禁止します。
キャスト
スピカ・スカイユ :飯田悠佳 twitter
真田ちゆり :久留ゆう twitter
S・ブラッドストーン :森嵜美穂 twitter
やぎつくね :音羽咲夜 twitter
鹿奈時雨 :石崎紗彩 twitter
クロエ・リンクス :樋口陽子 twitter
リアン・フェルナンデス :七海映子 twitter
矢田ミサキ :ピエール=アボカド=ケン twitter
リンダ・ファーイ :七海映子 / 小々原奈奈子(仮組テキスト版)twitter
ニーナ・ジリンスカス :音羽咲夜 / 青山ゆり華(仮組テキスト版)twitter
レイワ・オーベルシュタット:石崎紗彩 / 森嵜美穂(仮組テキスト版)
天草いよ :音羽咲夜 / 石崎紗彩(仮組テキスト版)
海藤咲希 :若草みほ / 七海映子(仮組テキスト版)
浅井・ソフィー・優美子 :飯田悠佳 / 青山ゆり華(仮組テキスト版)
姫神美弥 :若草みほ / 青山ゆり華(仮組テキスト版)
ジェイソン :たっつん twitter / キョウジ(仮組テキスト版)twitter
人狼姉 :七海映子
人狼弟 :石崎紗彩
人狼町長 :紫藤宗二 twitter / ノルド閣下(仮組テキスト版)twitter
ダタラッチ :栗田隆 twitter / 大佐(仮組テキスト版)twitter
女教師 :森嵜美穂 / 青山ゆり華(仮組テキスト版)
生徒A :石崎紗彩
生徒B :七海映子
ナレーターA :絹江 twitter / 青山ゆり華(仮組テキスト版)
ナレーターB :アンドレイ twitter / 青山ゆり華(仮組テキスト版)
主題歌
『Love Song For You』(歌:レイワ・オーベルシュタット(CV:森嵜美穂)) YouTube
ご協力絵師様
大坂やまねこ亭様 | |
ヤツキアン様 | |
樋口陽子様 | |
ちゃとん様 | |
ちゃとん様 | |
住野ジンバ様 | |
ちゃとん様 | |
七海映子様 | |
ちゃとん様 | |
七海映子様 | |
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ちゃとん様 | |
ちゃとん様 | |
七海映子様 | |
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当日の模様
youtu.be/cWO78eO3bqs にて、公開アフレコの模様をご覧いただけます。